特殊関数 Menu

誤差関数

誤差関数

日:誤差関数誤差積分
英:Error function,仏:Fonction d'erreur,独:Fehlerfunktion

 統計学における1次元絶対連続分布は、正規分布(または Gauss 分布)と呼ばれる確率密度関数で表わされる。これは、調査標本や起こりうる確率事象が中央値で最も多く、それから離れるに従い少なくなるという自然現象を、連続化・理想化したモデルを意味しており、その中央値を極大値とする丘陵形の曲線を成す。正規分布の概念は、2項分布の極限として A. de Moivre によって創始されたものである。この正規分布関数は初等関数であるが、これを積分したものは事象の数え上げ(累積)を意味し、初等関数では表わされない。これは誤差関数
誤差関数の定義式
によって表わされる。このほかに付随して、
  • 相補誤差関数・虚部誤差関数の定義式
も定義される。前者は相補誤差関数、後者は虚部誤差関数と呼ばれることがある。以上の関数はすべて超越整関数なので、複素平面上では無限遠点のほかに特異点を持たない。また2階の線形常微分方程式を満たす。特に合流型超幾何関数の特別な場合、不完全ガンマ関数の特別な場合として表わせる。
 C. F. Gauss が天体観測値の誤差評価の際、この誤差関数と彼および A. M. Legendre によって知られていた「最小自乗法」を用いたことで現在は有名となっている。
 なお、虚部誤差関数を用いて表わされる積分関数
  • Dawson関数の定義式
を Dawson 関数(あるいは Dawson 積分)という。
 誤差関数の応用分野は、前述のような歴史的背景もあって統計学や確率論が中心となるが、単なる積分計算等に由来する純粋数学的な応用事例も散見される(例えば、変形Appell - Lerch 級数を参照)。

誤差関数・相補誤差関数の記号

 正規分布関数は、丘陵形の曲線を成す。この曲線とx軸、y軸とで囲まれた部分の面積は1である。
 (正規分布関数は初等関数である。)
  • 正規分布関数のグラフ(実変数)

 実変数の誤差関数・相補誤差関数のグラフ。正規分布関数の積分が誤差関数となるので、x→±∞のとき、誤差関数の極限値である。
  • 誤差関数・相補誤差関数のグラフ(実変数)

 複素変数の誤差関数誤差関数の記号のグラフ。
  • 誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 誤差関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の相補誤差関数相補誤差関数の記号のグラフ。
  • 相補誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 相補誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 相補誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 相補誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 相補誤差関数のグラフ(複素変数)

虚部誤差関数の記号

 実変数、および複素変数の虚部誤差関数のグラフ。
  • 虚部誤差関数のグラフ(実変数)
  • 虚部誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部誤差関数のグラフ(複素変数)

Dawson関数の記号

 実変数、および複素変数の Dawson 関数のグラフ。
  • Dawson関数のグラフ(実変数)
  • Dawson関数のグラフ(複素変数)
  • Dawson関数のグラフ(複素変数)
  • Dawson関数のグラフ(複素変数)
  • Dawson関数のグラフ(複素変数)
  • Dawson関数のグラフ(複素変数)

Fresnel 関数

日:Fresnel関数Fresnel積分
英:Fresnel integral,仏:Intégrale de Fresnel,独:Fresnel-Integral

 虚変数に対する誤差関数を、実部と虚部に分離して得られる関数は、次の積分を含む。
Fresnel関数の定義式
 この二つの関数を、Fresnel 関数(あるいは Fresnel 積分)という。ともに超越整関数であり、複素平面上では無限遠点のほかに特異点を持たない。また2階の線形常微分方程式を満たし、特に合流型超幾何関数不完全ガンマ関数の特別な場合を用いて表わせる。
 Fresnel 関数という名は、A. J. Fresnel が光学における回折現象を説明するために、この関数を用いた事に因む。点光源から発せられた(レーザー等の)光が、直線エッジを持つ薄い板によって遮られてスクリーン上に影をつくるとき、影の境界線近傍に微細な干渉縞が生じる。これは「Fresnel interference pattern」と呼ばれる現象で、その干渉縞の明度Fresnel interference patternの関数:F(z)は Fresnel 関数を用いて次のように表わされる。
  • Fresnel interference patternの関数:F(z)
  • Fresnel interference patternの図
Fresnel interference pattern:Edge of a shadow

 しかし、初めて Fresnel 関数を取り扱ったのは L. Euler であって、媒介変数表示
クロソイド曲線の方程式
で表わされる「クロソイド曲線」を研究した際に現れた。上記の媒介変数表示は「平面曲線における自然方程式」の例になっており、クロソイド曲線上の任意の点での曲率は、原点からその点までの曲線の長さに比例する。これは、車両が一定速度で進行しながらハンドルを一定角速度で回したときに描く軌跡に相当するので、高速自動車道のカーブやインターチェンジの道路線形にクロソイド曲線が用いられるほか、ジェットコースターの垂直ループ部分にもクロソイド曲線が適用されている。これらは利用者への安全性を考慮した設計方法として知られている。
  • Fresnel interference patternの図
クロソイド曲線を道路線形に適用する場合の典型的な例

Fresnel関数の記号

 実変数の Fresnel 関数のグラフ。x→±∞のとき、Fresnel関数の極限値である。
  • Fresnel関数のグラフ(実変数)

 クロソイド曲線は螺線の一種である。(Cornu の螺線ともいう。)
  • クロソイド曲線のグラフ(2次元)
  • クロソイド曲線のグラフ(3次元)
  • クロソイド曲線のグラフ(3次元)

 複素変数の Fresnel 関数Fresnel関数の記号のグラフ。
  • Fresnel正弦関数のグラフ(複素変数)
  • Fresnel正弦関数のグラフ(複素変数)
  • Fresnel正弦関数のグラフ(複素変数)
  • Fresnel正弦関数のグラフ(複素変数)
  • Fresnel正弦関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Fresnel 関数Fresnel関数の記号のグラフ。
  • Fresnel余弦関数のグラフ(複素変数)
  • Fresnel余弦関数のグラフ(複素変数)
  • Fresnel余弦関数のグラフ(複素変数)
  • Fresnel余弦関数のグラフ(複素変数)
  • Fresnel余弦関数のグラフ(複素変数)

超誤差関数

 誤差関数を拡張したものは幾つかあるが、被積分関数である指数関数の変数がtの一般次数冪になったものが多い。ここでは定数倍の部分を独自定義した関数
  • 超誤差関数の定義式
を扱い、これを超誤差関数と呼ぶことにする。複素関数としての二つの関数は、vが負でない整数のときは超越整関数になるので、無限遠点のほかに特異点を持たない。それ以外のときはz=0にも特異点を持ち、通常は-∞~0に分枝切断線を置く。また2階の線形常微分方程式を満たす。特に合流型超幾何関数不完全ガンマ関数の特別な場合として表わせる。
 応用例は今のところほとんど無く、vが3の場合について数表が作られている程度である。

超誤差関数の記号

 実変数の①超誤差関数超誤差関数の記号,②虚部超誤差関数虚部超誤差関数の記号のグラフ。
 ともにv=0.25~5 (+0.25刻み)。(刻みの増により、赤→橙→黄…に変化。)

 複素変数の超誤差関数超誤差関数の記号のグラフ。
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の超誤差関数超誤差関数の記号のグラフ。
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 超誤差関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の虚部超誤差関数虚部超誤差関数の記号のグラフ。
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の虚部超誤差関数虚部超誤差関数の記号のグラフ。
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)
  • 虚部超誤差関数のグラフ(複素変数)

超 Fresnel 関数

 超誤差関数と同様、ここでも定数倍の部分を独自定義した関数
超Fresnel関数の定義式
を扱い、これを超 Fresnel 関数と呼ぶことにする。複素関数としての二つの関数は、vが負でない整数のときは超越整関数となるため、無限遠点のほかに特異点を持たない。それ以外のときはz=0にも特異点を持ち、通常は-∞~0に分枝切断線を置く。また2階の線形常微分方程式を満たす。特に合流型超幾何関数不完全ガンマ関数の特別な場合として表わせる。応用例は今のところほとんど無い。

超Fresnel関数の記号

 実変数の超 Fresnel 関数のグラフ。
 ①超Fresnel関数の記号,②超Fresnel関数の記号。ともにv=0~5 (+0.25)。(赤→橙→黄…。)

 曲線上のある点での曲率が、原点からその点までの曲線の長さの2乗に比例する、超クロソイド曲線。
  • 超クロソイド曲線のグラフ(2次元)
  • 超クロソイド曲線のグラフ(3次元)
  • 超クロソイド曲線のグラフ(3次元)

 曲線上のある点での曲率が、原点からその点までの曲線の長さの3乗に比例する、超クロソイド曲線。
  • 超クロソイド曲線のグラフ(2次元)
  • 超クロソイド曲線のグラフ(3次元)
  • 超クロソイド曲線のグラフ(3次元)

 複素変数の超 Fresnel 関数超Fresnel関数の記号のグラフ。
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の超 Fresnel 関数超Fresnel関数の記号のグラフ。
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の超 Fresnel 関数超Fresnel関数の記号のグラフ。
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の超 Fresnel 関数超Fresnel関数の記号のグラフ。
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)
  • 超Fresnel関数のグラフ(複素変数)

Marcum のQ関数

 Marcum のQ関数は、整数mのときに、無限級数
  • MarcumのQ関数の定義式
で表わされる。また、正の実数m,z,wのときに、積分
  • MarcumのQ関数の積分表示式
で表わされる。ここに第1種変形Bessel関数の記号第1種変形 Bessel 関数である。
 一般のz,wに対して、Marcum のQ関数は超越整関数となる。また、極限において誤差関数Laguerre 関数等で表わすことができる。
 特に、m=1の場合は
  • MarcumのQ関数の対称関係式
となる。
 Marcum のQ関数は統計学などでの応用があり、例えば、Rice 分布および Skellam 分布の累積関数を表わす際に現れる。関数名は、1950年頃の J. I. Marcum による研究結果に因む。

MarcumのQ関数の記号

 実変数の Marcum のQ関数のグラフ。
 ①MarcumのQ関数の記号w=0~9 (+0.25),②MarcumのQ関数の記号w=0.25~9 (+0.25)。(いずれも、赤→橙→黄…。)

 複素変数の Marcum のQ関数MarcumのQ関数の記号のグラフ。
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Marcum のQ関数MarcumのQ関数の記号のグラフ。
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Marcum のQ関数MarcumのQ関数の記号のグラフ。
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)

MarcumのQ関数の記号

 実変数の Marcum のQ関数のグラフ。
 ①MarcumのQ関数の記号,②MarcumのQ関数の記号。ともにz=0~9 (+0.25)。(赤→橙→黄…。)

 複素変数の Marcum のQ関数MarcumのQ関数の記号のグラフ。
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Marcum のQ関数MarcumのQ関数の記号のグラフ。
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)
  • MarcumのQ関数のグラフ(複素変数)

Owen のT関数

 Owen のT関数は、wが実数のときに
  • OwenのT関数の定義式
となる積分関数である。Owen のT関数は、zに対して偶関数となり超越整関数である。wに対しては奇関数であり、w=i, -iにおいて分岐点を持ち、通常は区間区間(-i∞, -i]および区間[i, i∞)上に分枝切断線を置く。
 特殊な値の場合、Owen のT関数は次のように他の関数に還元される。
  • OwenのT関数の他の関数への還元
また、Owen のT関数をzまたはwについて微分すると、
  • OwenのT関数の微分
となる。
 Owen のT関数は統計学などでの応用があり、例えば、歪正規分布の累積関数、ある種の2変数正規分布の累積関数を表わす際に現れる。1956年に統計学者 D. B. Owen が前述の応用事例においてこの関数を導入したので、後年その名が冠せられるようになった。

OwenのT関数の記号

 実変数の Owen のT関数OwenのT関数の記号のグラフ。w=-9~9 (+0.5)。(赤→橙→黄…。)
  • OwenのT関数のグラフ(実変数)

 複素変数の Owen のT関数OwenのT関数の記号のグラフ。
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Owen のT関数OwenのT関数の記号のグラフ。
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)

OwenのT関数の記号

 実変数の Owen のT関数のグラフ。
 ①OwenのT関数の記号,②OwenのT関数の記号。ともにz=0~5 (+0.2)。(赤→橙→黄…。)

 複素変数の Owen のT関数OwenのT関数の記号のグラフ。
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Owen のT関数OwenのT関数の記号のグラフ。
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)
  • OwenのT関数のグラフ(複素変数)


【 Petite Galerie 】

  • 絡み合う空間クロソイド曲線

「絡み合う空間クロソイド曲線」

特殊関数 Menu