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Chebyshev 関数
Chebyshev 関数
日:Chebyshev関数,チェビシェフ関数英:Chebyshev function,仏:Fonction de Tchebychev,独:Tschebyschow-funktion ※1
2階の線形常微分方程式
は超幾何微分方程式の特別な場合であり、を確定特異点とする。これを Chebyshev の微分方程式といい、その解の基本系を成す二つの関数は、
となる※2。これを順に、第1種および第2種 Chebyshev 関数という。このうち、第1種は常にとなるように選んだ特別な解であって、一般にを対数分岐点とし、実軸上の区間に分枝切断線が置かれる。第2種は常にとなる解であり、一般にを対数分岐点とし、実軸上の区間 およびに分枝切断線が置かれる。
後述のとおりが多項式となる次数のとき、同時に第2種に相当する関数も多項式となるよう、
が定義されている。通常はこれを第2種 Chebyshev 関数と呼ぶが、が満たす微分方程式は、
となり若干形が異なる。このとき、は常にとなる特別な解であって、一般にを対数分岐点とし、実軸上の区間 に分枝切断線が置かれる。
Chebyshev 関数は、超幾何微分方程式の特別な場合の解であり、具体的に超幾何関数を用いれば
と表わせる。このことから導かれる性質のうち、線形漸化式および微分漸化式
は代表的であるが、多くは三角関数による定義式から導く方が容易である。例えば、次数の反転性
および入れ子関係性 (Nesting property)
また、Chebyshev 関数は Legendre 陪関数 (Ferrers 型) の特別な場合を用いて、
と表わせる。
Chebyshev 関数は次数がならば、多項式
に還元され、第1種および第2種 Chebyshev 多項式と呼ばれる。両者はが偶数 (奇数) ならば偶関数 (奇関数) となる。また、母関数表示式および Rodrigues の公式
によっても表わせる。Chebyshev 多項式は直交性を持つが、これについては次節で触れる。なお、は因子が掛かる分、多項式ではない。
他の古典的直交多項式と異なり、Chebyshev 多項式は零点の位置が明示的に
と求められる。つまり、実数領域での明示的な因数分解が可能で、
と表わせる。
Chebyshev 関数は上記以外にも、少しずつ異なった定義が存在する。例えば、NISTの18.5(i)では、
が掲載されている。(と記号が被るため、当サイトでは関数記号をNISTと異なるフォントに変えている。)
Chebyshev 関数の名称は、蒸気機関の制御問題に関連して、1853年に Chebyshev 多項式による関数近似を論じた P. L. Chebyshev に由来する※1。
現在でも、Chebyshev 多項式の主要な応用分野は数値解析であって、より高速で低計算コストの演算技法を開発するために利用されてきた。例えば、Fourier 級数等に現れる三角関数は計算コストが高くなりやすいが、Chebyshev 多項式を介すればこれを冪関数に置き換えることができる。また、区間で無限回微分可能な任意関数を直交多項式の無限級数に展開するとき、Chebyshev 多項式を選ぶと収束の速い級数になることが多い。さらに、多項式補間法 (任意関数の値が有限個のサンプル点のみで判明しているとき、その離散値を結ぶ連続化 (内挿) に相応しい多項式を見出す方法) で Chebyshev 多項式を用いると、最も極端誤差が小さくなる 「最適補間法」 に非常に近い方法が得られる。
Chebyshev 多項式は物理学や工学にも現れ、高次元 Laplace 方程式の角度方向の固有関数、量子色力学、相対論的効果を取り入れた調和振動子、電子回路設計 (後述の Chebyshev フィルター) 等に応用事例がある。
【註記】
※1:ロシア人数学者の名は、キリル文字をラテン文字に転記するのが (西側諸国の?) 慣例となっているが、大抵は複数の転記法が存在する。Chebyshev の場合は特にそれが著しく、Chebyshov, Tchebychev, Tchebycheff, Tschebyscheff など多数ある。関数記号はこのうちの "T" から始まる名に由来する。
※2:この定義式から、いかなる次数であっても Chebyshev 関数は初等関数になる。また、のグラフは常に、ある Lissajous 曲線の一部分になることが分かる。
※1:ロシア人数学者の名は、キリル文字をラテン文字に転記するのが (西側諸国の?) 慣例となっているが、大抵は複数の転記法が存在する。Chebyshev の場合は特にそれが著しく、Chebyshov, Tchebychev, Tchebycheff, Tschebyscheff など多数ある。関数記号はこのうちの "T" から始まる名に由来する。
※2:この定義式から、いかなる次数であっても Chebyshev 関数は初等関数になる。また、のグラフは常に、ある Lissajous 曲線の一部分になることが分かる。
を実変数とする、第1種 Chebyshev 関数のグラフ。①整数次(Chebyshev 多項式)。②実数次。
アニメーション(10.9MB)
第1種 Chebyshev 関数のグラフは、単位円柱面に貼り付けた余弦波を、平面上に正射影したものである。
複数の第1種 Chebyshev 関数のグラフが、同じ交点を何度も通る様子。
を実2変数とする、第1種 Chebyshev 関数のグラフ。のとき方向は余弦関数、のとき方向は双曲線余弦関数となる。
を複素変数とする、第1種 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Chebyshev 関数のグラフ。
を実変数とする、純虚数次の第1種 Chebyshev 関数のグラフ。正の方向で無限回振動する。
なお、明示的な式で表わせばとなる。
を実2変数とする、第1種 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Chebyshev 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
アニメーション(11.0MB)
第2種 Chebyshev 関数のグラフは、単位円柱面 (の半分) に貼り付けた正弦波を、平面上に正射影したものである。
複数の第2種 Chebyshev 関数のグラフが、同じ交点を何度も通る様子。
を実2変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。のとき方向は正弦関数となる。
を複素変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。①整数次(Chebyshev 多項式)。②実数次。
複数の第2種 Chebyshev 関数のグラフが、同じ交点を何度も通る様子。
を実2変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。方向ではならば奇関数、つまりとなる。特に、のときの正弦関数、のときの双曲線正弦関数で表わされる。
を複素変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする Chebyshev 関数のグラフは、概形がこれまでの Chebyshev 関数とほとんど変わらないので省略し、実変数および実2変数のグラフのみ掲載する。
を実変数とする、Chebyshev 関数のグラフ。①整数次(Chebyshev 多項式)。②実数次。
複数の Chebyshev 関数のグラフが、同じ交点を何度も通る様子。
を実2変数とする、Chebyshev 関数のグラフ。方向ではならば奇関数、つまりとなる。特に、のときの正弦関数、のときの双曲線正弦関数で表わされる。
を複素変数とする Chebyshev 関数のグラフも同様に省略し、実変数および実2変数のグラフのみ掲載する。
を実変数とする、Chebyshev 関数のグラフ。①整数次(Chebyshev 多項式)。②実数次。
複数の Chebyshev 関数のグラフが、同じ交点を何度も通る様子。
を実2変数とする、Chebyshev 関数のグラフ。方向ではならば偶関数、つまりとなる。特に、のときの余弦関数、のときの双曲線余弦関数で表わされる。
ここでは Chebyshev 多項式補間と Lagrange 多項式補間を取り上げ、各々の概要を説明するとともに関数近似の実例を比較する。以降では、近似しようとする任意 (実) 関数をと表記する。
互いに相異なるサンプル点の集合をとするとき、一般の Lagrange 多項式補間は、
で与えられる。
ただし、以降で扱う Lagrange 多項式補間は、サンプル点の配置規則 (これは 「ノード (node) 」 と呼ばれる) が等間隔ノードであり、しかも区間内で次のように分布する場合に限定する。(この比較が結果の違いを明確にする事を目的としている以上、なるべく両者の条件は揃えたいと考えたからである。)
このとき、有限積から除外する項が現れないよう、強制的にを実数に置き換えた Lagrange 多項式を描画すると、零点が等間隔に並ぶ多項式になっていることが分かる。
さて、に上記の Lagrange 多項式補間を適用した結果は、次のようになる。
補間区間の中央では良い近似になっているが、両端では誤差が極端に大きくなる。実は厄介な事に、この誤差は多項式の次数を増やすほど著しくなる。これは 「Runge の現象」 と呼ばれ、特には Runge の現象が起きる例としてよく知られている。
Chebyshev 多項式補間は、第1種 Chebyshev 多項式を用いた
で与えられる。に Chebyshev 多項式補間を適用すると、次のようになる。
Runge の現象が抑えられ、極端に突出した誤差が無くなったことが分かる。これは、サンプル点をの零点の間隔 (Chebyshev ノード) に取ったことによる効果である。(尤も、予め値が判明しているサンプル点が Chebyshev ノードになる数値計算の実例は少ないと思われるが…。)
次の図は、区間内に分布する Chebyshev ノードのサンプル点である。
Chebyshev フィルター (Filter:濾波器) の特性に基づく利得 (Gain:電圧等の出力/入力の比) は、角周波数を変数とする2種類の関数
で表わされる。ここに、は電子回路中の抵抗部品の個数、はリップル係数 (ripple:通過帯域または遮断帯域に生じる電圧等の変動)、は遮断周波数 (Cutoff frequency) である。電気信号の特定周波数帯に対する通過帯域 (Passband) にリップルが生じる場合はで利得が算出され、そのときのフィルターは第1種 Chebyshev フィルターと呼ばれる。一方、遮断帯域 (Stopband) にリップルが生じる場合はで算出され、フィルターは第2種 Chebyshev フィルターと呼ばれる。
ただし以降では、関数としてのおよびの振る舞いのみを関心事とし、電気工学の話には全く触れない。上記の各用語と詳細については、Wikipedia 等の記事を参照して欲しい。
なお、簡単のためグラフは全てとして描画する。つまり、周波数の遮断がグラフのにあるとする。
を実変数とする、第1種 Chebyshev フィルター特性の利得関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Chebyshev フィルター特性の利得関数のグラフ。
因みに、Wikipedia に掲載されている同様の図は、変数にが掛かる伝達関数のグラフであり、当サイトとは90°回転の相違がある。
を実変数とする、第2種 Chebyshev フィルター特性の利得関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Chebyshev フィルター特性の利得関数のグラフ。
同様に、Wikipedia にある伝達関数のグラフと90°回転の相違がある。
Chebyshev 関数(正規化)
第1種および第2種 Chebyshev 多項式は、直交区間をとする直交多項式であり、重み関数を伴う直交性を持っている。これは、三角関数の直交性
の別表現であり、置換積分によって交互に移り変われるため都合が良い。
当サイトでは Chebyshev 関数に対しても、独自に
を導入し、第1種および第2種の正規化 Chebyshev 関数と呼ぶ※1。よって、およびは正規直交関数系を成すとともに、重み関数が現れない直交性
を満たす。
Chebyshev 多項式の直交性は、区間の定積分の数値計算、Fourier 級数論から発展した偏微分方程式のスペクトル理論等に応用されている。
【註記】
※1:関数記号は正規化 (Normalization) に基づく。また、当サイトではとを複素数まで許容する。
なお、を変数とする正規化 Chebyshev 関数は、これまでに現れた定義式から Chebyshev 関数と同様に三角関数になることが明らかなので、グラフの掲載は全て省略する。
※1:関数記号は正規化 (Normalization) に基づく。また、当サイトではとを複素数まで許容する。
なお、を変数とする正規化 Chebyshev 関数は、これまでに現れた定義式から Chebyshev 関数と同様に三角関数になることが明らかなので、グラフの掲載は全て省略する。
を実変数とする、第1種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、第1種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、第2種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種正規化 Chebyshev 関数のグラフ。
楕円有理関数
日:楕円有理関数英:Elliptic rational function,仏:Fonction rationnelle elliptique,独:Rational elliptische funktion
第1種 Chebyshev 関数の定義式に現れる三角関数を、Jacobi の楕円関数に置き換えた関数
は※1、次数が非負整数のときにの有理関数となるので、楕円有理関数と呼ばれている※2。ここに、は選択係数 (selectivity factor) と呼ばれるパラメーターである。ただし、当サイトではを複素数にまで拡張するが、その場合はを分岐点とする多価関数となり、有理関数ではなくなる。分枝切断線はのそれぞれからに向かう偏角の二直線となるが、特別な場合における分枝切断線の消失パターンは複雑である。例えば、が整数でない実数で、かつなる実数のとき、分枝切断線は実軸上の区間のみに置かれる。
は弁別係数 (discrimination factor) と呼ばれ、超越方程式
を満たすものと定義される。これは、両辺にを掛けて楕円モジュラー・ラムダ関数を用いれば、
のとおり解ける※3。ただし、下半平面でも値を取り偶関数になるを採用した理由は、第1種 Chebyshev 関数に類似した次数の反転性
が、上記の制限を除いた広範囲ので成り立つようにするためであって、解析接続とは異なる。
楕円有理関数は、特殊値
を持ち、引数の逆数性 (Inversion relationship)
が成り立つ (の場合は一部領域のみで成立する)。
楕円有理関数は、2階の非線形常微分方程式
の解である。
楕円有理関数の (恐らく唯一の) 応用事例として、電子回路設計における楕円フィルターが知られている。これは極限として Chebyshev フィルターを含み、さらに一般的な場合のフィルター特性にも適用できるよう、W. Cauer が考案したものである。
【註記】
※1:当サイトでは、母数に Abramowitz & Stegun および Mathematica 流の表記法を採用しているので、等の引数は、より一般的な表記法と2乗の違いがある。
※2:特に、次数がであるときの具体的な有理関数の表示は、Wikipedia および Wolfram MathWorld 等の記事に出ているが、当サイトでの掲載は省略する。
因みに、「Chebyshev 有理関数」
は、楕円有理関数と異なる関数で、互いに関連は無い。
※3:したがって、を変数とするのグラフは、の定義域を拡大・縮小および回転したものに過ぎないので、掲載を省略する。
なお、余分な分枝切断線が現れないよう、の定義式に現れるの部分は、
のように解釈する (楕円テータ関数の第2変数の表記法に注意)。
楕円モジュラー・ラムダ関数で解ける事については、Wikipedia 「楕円有理関数」 の冒頭でも "楕円ノーム関数の逆関数の値として求まる" との示唆がある。
※1:当サイトでは、母数に Abramowitz & Stegun および Mathematica 流の表記法を採用しているので、等の引数は、より一般的な表記法と2乗の違いがある。
※2:特に、次数がであるときの具体的な有理関数の表示は、Wikipedia および Wolfram MathWorld 等の記事に出ているが、当サイトでの掲載は省略する。
因みに、「Chebyshev 有理関数」
※3:したがって、を変数とするのグラフは、の定義域を拡大・縮小および回転したものに過ぎないので、掲載を省略する。
なお、余分な分枝切断線が現れないよう、の定義式に現れるの部分は、
のように解釈する (楕円テータ関数の第2変数の表記法に注意)。
楕円モジュラー・ラムダ関数で解ける事については、Wikipedia 「楕円有理関数」 の冒頭でも "楕円ノーム関数の逆関数の値として求まる" との示唆がある。
を実変数とする、楕円有理関数のグラフ。①整数次 (本来の楕円有理関数)。②実数次。③広範囲でを描画する (値域を逆双曲線正弦的に圧縮していることに注意)。
を実変数とする、楕円有理関数のグラフ。①区間の近く。②もっと広範囲で描画する (ただし、値域を逆双曲線正弦的に圧縮する)。
グラフのとおり、の (または) にある零点と極の位置は、のとき (または) に近付く。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
アニメーション(41.4MB)
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。ここに次数は、複素平面上を2番目の図のように動く。
を実変数とする、楕円有理関数のグラフ。ただし、値域を逆双曲線正弦的に圧縮する。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
6番目は虚軸の近くを拡大したグラフ (等高線を入れないようにしている)。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を実変数とする、楕円有理関数のグラフ。①。②。ただし、いずれも値域を逆双曲線正弦的に圧縮する。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を複素変数とする、楕円有理関数のグラフ。
を実変数とする、弁別係数のグラフ。
を複素変数とする、弁別係数のグラフ。
を複素変数とする、弁別係数のグラフ。
を複素変数とする、弁別係数のグラフ。
アニメーション(31.1MB)
を複素変数とする、弁別係数のグラフ。ここに次数は、複素平面上を2番目の図のように動く。
前述のとおり、電子回路において特定周波数の通過帯域または遮断帯域のどちらかでリップル (電圧等の変動) が生じるならば、濾波器の特性は Chebyshev フィルターで表わされるのであった。もっと一般的に、通過帯域・遮断帯域の両方でリップルが生じる場合を包含し、ある極限を取れば第1種または第2種 Chebyshev フィルターに移行する、拡張された濾波器の特性は楕円フィルターと呼ばれ、その利得 (電圧等の出力/入力比) は楕円有理関数を用いて
で表わされる。ここに Chebyshev フィルターと同様、は抵抗部品の個数、はリップル係数、は遮断周波数である。は (楕円有理関数における用語と同じく) 選択係数と呼ばれる。楕円フィルターは、代わりに考案者の名を冠して Cauer フィルターと呼ばれることもある。
なお、ここでも電気工学の話には深入りせず、以降での関心事は関数の振る舞いのみとする。また、同様にグラフは全てとして描画し、周波数の遮断がグラフのにあるとする。
を実変数とする、楕円フィルター特性の利得関数のグラフ。①。②。
を複素変数とする、楕円フィルター特性の利得関数のグラフ。
2番目は値域を常用対数目盛にした場合 (次も同様)。
を複素変数とする、楕円フィルター特性の利得関数のグラフ。
楕円 Chebyshev 関数
楕円有理関数は確かに Chebyshev 関数の拡張になっているものの、その導入が始めから楕円フィルターへの応用を目的としていた理由もあって、かなり複雑な形で定義されている。そこで当サイトでは、もっと単純な形の関数
を独自に定義し、第1種・第2種の楕円 Chebyshev 関数と称する※1。
一般には、分岐点のそれぞれからに向かう偏角の三直線を分枝切断線とする。または、分岐点のそれぞれからに向かう偏角の四直線を分枝切断線とする。ただし両者とも、偏角が一致して複数の分枝切断線が重なるの場合、または特別な次数の場合は、分枝切断線の全長または一部区間が消失する。
Chebyshev 関数に類似する、楕円 Chebyshev 関数の性質として、次数の反転性
および、入れ子関係性
が挙げられる。また、特殊値および極限値
を持っている。
次数がならば、は有理関数になる。は有理関数に無理関数を掛けたものになり、具体的にはが奇数ならば、が偶数ならばが無理関数因子となる。例えば、
となっている※2。
楕円 Chebyshev 関数は、2階の非線形常微分方程式
の解である。
【註記】
※1:以降では、を変数とするグラフは (楕円関数と同じになるので) 掲載しない。
※2:したがって、整数次のときに常に有理関数となるような第2種 Chebyshev 関数の類似は、唯一の式で定義できない。つまり、
の二通りに分けなければならない。(当サイトでを定義しなかった理由。)
※1:以降では、を変数とするグラフは (楕円関数と同じになるので) 掲載しない。
※2:したがって、整数次のときに常に有理関数となるような第2種 Chebyshev 関数の類似は、唯一の式で定義できない。つまり、
の二通りに分けなければならない。(当サイトでを定義しなかった理由。)
を実変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。①。②。③。
を複素変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
アニメーション(22.3MB)
を複素変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を実変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。①。②。
を複素変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。①。②。③。
を複素変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
アニメーション(16.3MB)
を複素変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。①。②。
を複素変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種楕円 Chebyshev 関数のグラフ。