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ゼータ関数

Riemann のゼータ関数

日:Riemannのゼータ関数リーマン ζ 関数
英:Riemann zeta function,仏:Fonction zêta de Riemann,独:Riemannsche Zetafunktion

 現在では「ゼータ関数」なる言葉が、単に特定の関数に対して与えられる名称を超えて、ある種の数学的構造を捉えるための手法を言い表わしていると見るなど※1、その意味が広く解釈されているので、ゼータ関数とは何かをひと言で説明するのは難しい。
 商を除く四則演算に対して閉じた集合となる可換環は、その要素である(げん)(必ずしも数とは限らない)が広義の積に関して素元に一意分解されることが多い。このとき、可換環の元全体をわたる和が、同時に素元全体をわたる積にも表わされる例をつくることができる。つまり、素元への一意分解性が解析関数の満たす恒等式に言い換えられる。この解析関数が、対称的な関数等式を満たし複素平面全体に解析接続される等の良い性質を持っている場合、その可換環やこれを包含する(たい)の上で考察される諸問題に対して、関数論的な種々のアプローチがとれるようになる。大雑把な説明であるが、そのような解析関数が広義の「ゼータ関数」であるといえる。具体的な可換環とその素元の例として、整数に対しては素数が、代数体 (代数的数体) の整イデアルに対しては素イデアルがよく知られている。さらに、有限体上における代数関数体が代数体に類似していることに基づいたゼータ関数等、様々な方向からの一般化も考察されているので、これらを総合すると、ゼータ関数の種類は全貌を把握することが難しいほど膨大な数に及ぶ。そのうち、整数環に対して定義されるゼータ関数が、よく知られた「Riemann のゼータ関数」である。歴史的に最も古くからあり最も基本的なゼータ関数であるため、文脈において単にゼータ関数というとき、それは Riemann のゼータ関数を指す場合が多い。
 Riemann のゼータ関数は Dirichlet 級数 (→ Dirichlet のL関数を参照) によって
Riemannのゼータ関数(Dirichlet級数表示)
と表わされ、特殊関数にしては簡潔な形になるため※2、その本性も容易に把握できるように見える。しかしながら、Riemann ゼータ関数の神秘を解明しようとする試みは多くの場合、数々の袋小路に遭遇することになる。そこはまさに迷宮であり、第一線の数学者だけが探索可能な領域と言ってもよい。現在では、一般の人々においてもゼータ関数への関心が高まっており、このような実情は広く知られつつある。後述の 「Riemann 予想」 の証明が、クレイ数学研究所の掲げる 「ミレニアム懸賞問題」 の一つになっているほどの難問であること等、話題にも多く上るようになった。
 Riemann のゼータ関数についての最初の詳細な研究成果は、L. Euler によってもたらされた。明らかになった事柄として主要なものを列挙すると、
1.sが2以上の偶数のときのζ(s)の特殊値、すなわち
  • Riemannのゼータ関数(正の偶数での値)
を求めた。ここにBernoulli数の記号BnBernoulli 数である。特に、s=2のときの値を求める「バーゼル問題」に対する解答が、これに含まれている。(1735年)

2.現在では「Euler の素数積表示式」等の名称で呼ばれる無限乗積
  • Riemannのゼータ関数(Euler積)
を発見し、このことから素数の個数は対数的に増大することを推察した。(1737年)
 なおこの式が、素因数分解の一意性を解析関数の恒等式で表現した例になっている。

3.ζ(s)ζ(1-s)との関係を意味する「関数等式」を、数値計算による検証で部分的に求めた※3。
 またこれを用いて、sが負の奇数のときのζ(s)の特殊値と、sが負の偶数のときのζ(s)の零点(自明零点:trivial zeros と呼ばれる)
  • Riemannのゼータ関数(負の整数での値)
を求めた。(1749年)
などがある。なお、1.とは異なり、現在でもsが3以上の奇数のときのζ(s)の値は、簡潔な(特殊関数、積分、無限級数、および極限を用いない)表示が知られておらず、R. Apéry がs=3の場合に無理数になることを初めて証明したのを除いて、無理数であるかどうかも知られていない。これは、Euler の定数とともに重要な超越数論上の未解決問題として、常に数学者等の関心を集める。
 3.はその後、他の数学者達によって厳密な証明が与えられたが、そのうちの G. F. B. Riemann は始めからsを複素数として理論を展開し、さらに重要な結果をも追加した。ベルリン学士院月報1859年11月号に載った約10頁の論文「与えられた数より小さい素数の個数について」で明らかにされたその大まかな内容は、
1.経路積分を用いて、ζ(s)s=1を唯一の特異点(1位の極)とする有理型関数であることを証明した。

2.関数等式を2通りの方法で厳密に証明するとともに、ξ(s)=ξ(1-s)の形で求めた。
 そのうちの一つは、関数等式の成立が直ちに分かる積分
  • Riemannのゼータ関数(関数等式)
による。積分の形によって、ゼータ関数と保型形式(赤線部分)との関係も明らかにした。

3.ζ(s)の複素零点αを用いて、あるx以下の素数の個数を表わす関数π(x)
  • Riemann-von Mangoldt公式
と求めた。ここにΣα:非自明零点をわたる和は、複素零点のうち虚部が正であるものを絶対値の小さい順に総和する。また、Li(x)積分対数関数μ(n)Möbius 関数である。
 この公式は現在、「Riemann - von Mangoldt 公式」と呼ばれる (→ Riemann 素数計数関数を参照)。なお、Riemann の論文の主題はこの公式を求めることであった。
等からなる。記号ζ(・)は、Riemann がこの論文で初めて使用し※3、以後「ゼータ関数」の名称が定着した。Riemann の主張した事柄は、上記3.の他、いくつかの箇所で証明の飛躍や不備があったため、後に他の数学者達が厳密な証明を与えた。しかし、そのうちの

 「ζ(s)の複素零点αは、すべて1位でRe(s)=1/2(臨界線)上のみに存在する。」

は現在でも証明されず唯一残っている。これが、数学の未解決問題として有名な「Riemann 予想」である。またこの複素零点は、前述の「自明零点」に対比させて「非自明零点:non trivial zeros」と呼ばれる。
 なお、臨界線上における非自明零点の間隔が不規則であることも、この関数の神秘的な一面である。これをある無限次元行列式の固有値で説明しようとする試みなど、Riemann 予想の証明を目標に含む様々な研究が行われているが、いずれもまだ解決には至っていない。
 数値計算による Riemann 予想の検証、特に20世紀後半からは電子計算機を用いた検証も行われている。2004年現在、虚部の最も小さいものから順に数えて約10兆個の非自明零点については Riemann 予想の成立が確定しているが、このような検証が、元々は Riemann 予想の反例を見つけるという動機で始められることも多い。非自明零点の探索では、Riemann のゼータ関数そのものよりも便利な、後述の Riemann - Siegel 関数が専ら用いられる。
 Riemann のゼータ関数については、各分野から精力的かつ緻密な研究が行われた結果、非常に多くの公式が得られている。簡単な例としては、積分表示式
  • Riemannのゼータ関数(積分表示式)
が有名で、第1の積分は Riemann が前述の論文で1.を証明する際に使用した経路積分の起源でもある。また第2の積分は Euler - Maclaurin 総和公式の応用例であるが、形が簡明で大変美しい。他にも興味深い例として、Hasse の公式
  • Riemannのゼータ関数(Hasseの公式)
がある。この無限級数は、無限遠点とs=1の極を除く複素平面全体で収束する。

【註記】
※1 : 例えば「~のゼータ関数をつくる」、「~のゼータ関数になっている」という用法文をよく見かける。

※2 : 「簡潔」と書いたが、実際はそれほど簡潔でないことは、引数に対数関数を代入しただけでも分かる。それは、次数が対数列で増加するような冪級数である!。
Riemannのゼータ関数(冪級数への変形)
※3 : Euler はゼータ関数を無限級数や無限乗積の形で直接扱い、関数記号を特に定めなかった。それでも、Euler は関数等式を個性的で謎めいた記号を用いて表記している。
  • Riemannのゼータ関数(Eulerによる関数等式)

ζ(z)

 実変数の Riemann ゼータ関数のグラフ。
 ①実軸上。②実軸上のうち、関数値の絶対値が小さいためよく分からない部分を拡大した場合。

 臨界線上の Riemann ゼータ関数のグラフ。
 ①絶対値のグラフ。高さが0になる所が非自明零点。
 ②実部と虚部のグラフ。この場合は赤線と青線がともにx軸上で交わる点が非自明零点。

 複素変数の Riemann ゼータ関数のグラフ。
 2番目は臨界線をさらに辿った場合で、かつ、値域のスケールを逆双曲線正弦関数的にしている。
  • Riemannゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Riemannゼータ関数のグラフ(複素変数、対数的スケール)
  • Riemannゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Riemannゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Riemannゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Riemannゼータ関数のグラフ(複素変数)

 次は、臨界帯と呼ばれる領域(0<Re(z)<1)を明るく強調したものである。非自明零点の存在が臨界帯に限られることは、Euler 積表示式と関数等式とを用いて証明できる。あるいは、臨界帯とは Euler 積表示式の効果が及ばなくなる領域であるとも言える。そのため、臨界帯における非自明零点の位置(すなわち、それらがすべて臨界線上にあるかどうか)が重要となる。
  • Riemannゼータ関数のグラフ(複素変数、臨界帯)

Ξ(z)

 関数Ξ(z)の定義式は、関数等式Ξ(z)=Ξ(1-z)を満たす超越整関数である。
 実変数のグラフ。線対称形である。
  • Ξ関数のグラフ(実変数)

 複素変数のグラフ。 Riemann ゼータ関数の本質的な対称性を表わしている。2番目は値域のスケールを対数関数的にした場合。
  • Ξ関数のグラフ(複素変数)
  • Ξ関数のグラフ(複素変数、対数的スケール)
  • Ξ関数のグラフ(複素変数)
  • Ξ関数のグラフ(複素変数)
  • Ξ関数のグラフ(複素変数)
  • Ξ関数のグラフ(複素変数)

Riemann - Siegel 関数

日:Riemann-Siegel関数リーマン-ジーゲルZ関数
英:Riemann-Siegel function,仏:Fonction de Riemann-Siegel,独:Riemann-Siegelschen Z-funktion

 Riemann のゼータ関数のところでも述べたとおり、Riemann 予想における非自明零点の数値計算では、Riemann のゼータ関数そのものよりも、Riemann - Siegel 関数Ζ(t)が用いられる。これは、実軸に対称で非自明零点が実軸上にシフトするよう変形した関数
Riemann-Siegel関数Ζ(t)の定義式
のことで、数値計算による探査が実数値で行えるようになるとともに、後述の「Riemann - Siegel 公式」の使用も可能になる。ここにθ(・)は、Riemann - Siegel シータ関数と呼ばれる補正因子で
  • Riemann-Siegelシータ関数θ(t)の定義式
となる。Riemann - Siegel シータ関数は、複素平面上t=±1/2, ∞に対数分岐点を持つ多価関数で、区間(-∞i, -1/2i] および[1/2i, +∞)の直線上に分枝切断線を置く。この影響から、Riemann - Siegel 関数はt=±(4n-3)i/2に代数分岐点を持ち、虚軸上の区間[(8n-7)i/2, (8n-3)i/2] および[-(8n-3)i/2, -(8n-7)i/2] (n=1, 2, 3,...)に分枝切断線を有することになる。
 Riemann は論文「与えられた数より小さい素数の個数について」中で、すべての非自明零点が臨界線上にあることを(証明できないが)「確からしい」と言及しており、このことから変数をs=1/2+itに置き換えたゼータ関数で考察している。さらにこの関数が非常に速く収束する級数に展開できるとも言及していたので、Riemann が何らかの新しい数値計算法を発見しているのではないかと推測された。ところが Riemann が没してから約64年後の1932年、ゲッチンゲン大学の図書館に保管されていた Riemann の未発表草稿が C. L. Siegel によって発見され、その中にあった非自明零点の探査方法が解読された。
 それは、実質的にΖ(t)の漸近展開式でもあったので、この関数自体は Riemann - Siegel 関数と称されるようになり、その漸近展開式
  • Riemann-Siegel公式
は 「Riemann - Siegel 公式」 と呼ばれるようになった。非自明零点の数値計算において、この公式がいかに有用であるかを Siegel 自身も確認したが、実際、この級数は上記に明示されたΦの項数で計算しても非常に速く収束する。
 20世紀初頭から既に、非自明零点の探索(数値計算競争)が始まっていたが、初期は主に Euler - Maclaurin 総和公式を用いた。その場合の非自明零点の個数記録は、虚部の最も小さいものから順に数えて約200個が限界であった。しかし、1936年に Riemann - Siegel 公式を併用したとき、初めて飛躍的に1000個を超えた(当時、まだ手計算が主流であったことに留意)。以後、電子計算機による探索が普通となった現在に至るまで、Riemann - Siegel 公式は一貫して使用されている。

Ζ(z)

 実変数の Riemann - Siegel 関数のグラフ。 いずれも赤線が Riemann - Siegel 関数であるが、緑の線は
① Riemann - Siegel シータ関数,② Riemann - Siegel シータ関数を正弦関数に代入した関数
である。②は、緑の曲線がx軸と交差する点(これは Gram 点と呼ばれる)と点の間に、Riemann - Siegel 関数の零点があるという規則を図示したものである。実際は、すべての零点がこの規則を満たす訳ではないが、これを用いると更に効率的な零点探索が可能になる。

 複素変数の Riemann - Siegel 関数のグラフ。
  • Riemann-Siegel関数のグラフ(複素変数)
  • Riemann-Siegel関数のグラフ(複素変数)
  • Riemann-Siegel関数のグラフ(複素変数)
  • Riemann-Siegel関数のグラフ(複素変数)
  • Riemann-Siegel関数のグラフ(複素変数)

 Riemann - Siegel 関数における臨界帯に相当する領域は、-1/2<Im(z)<1/2である。
  • Riemann-Siegel関数のグラフ(複素変数、臨界帯)

Hurwitz のゼータ関数

日:Hurwitzのゼータ関数フルヴィッツ ζ 関数
英:Hurwitz zeta function,仏:Fonction zêta de Hurwitz,独:Hurwitzsche Zetafunktion

 Riemann のゼータ関数を一般化した Hurwitz のゼータ関数
  • Hurwitzのゼータ関数(Dirichlet級数表示)
は A. Hurwitz によって導入された。
 Hurwitz のゼータ関数は、Riemann のゼータ関数に類似する多くの積分表示式や無限級数表示式を持つが、
  • Hurwitzのゼータ関数(Riemannゼータ関数の無限級数)
のような固有の公式も多い。 Hurwitz のゼータ関数も、s=1に1位の極を持つ有理型関数に解析接続され、αが有理数の場合に限り、関数等式
  • Hurwitzのゼータ関数(関数等式)
を満たす。しかし、αが特殊な場合の
  • Hurwitzのゼータ関数(特殊な場合)
を除いて、Hurwitz のゼータ関数は Riemann のゼータ関数における Euler の素数積表示に相当する公式を持たず、複素零点もRe(s)=1/2からは逸れており整然としていない。
 ところが、次のような Hurwitz のゼータ関数の有限和で表わされる、後述の(原始指標に対する) Dirichlet のL関数
  • DirichletのL関数(Hurwitzのゼータ関数の和)
になると、複素零点がRe(s)=1/2に並ぶ(すべての複素零点でそうなっているかは、勿論まだ証明されていない)。有限和がほとんど自明であるために、一層この現象は奇妙に見える。これは、Hurwitz のゼータ関数の複素零点が、一見整然としていないながらも何らかの秩序を有することを思わせる。同様の現象は類似する他のゼータ関数の幾つかにも見受けられるため、Riemann 予想に関連する問題として併せて研究されている。
 なお、Riemann のゼータ関数から Hurwitz のゼータ関数へ一般化したように、種々ある拡張版のゼータ関数に対しても同様の一般化を行うことは、既に多く試みられている。またこれとは別に、補助変数を設けて他の関数との融合化を図ったものもある。そのような関数の一例として Lerch の超越関数がある。

ζ(z, α)

 実変数の Hurwitz ゼータ関数ζ(x, α)のグラフ。α=0.05~1(+0.05)。
 ①実軸上。②実軸上のうち、関数値の絶対値が小さいためよく分からない部分を拡大した場合。

 臨界線上の Hurwitz ゼータ関数のグラフ。
 ①Abs(ζ(1/2+xi, α)),②Re(ζ(1/2+xi, α)),③Im(ζ(1/2+xi, α))。 いずれもα=0.05~1(+0.05)。
 x軸に到達しないうちに転回する極小点が幾つもあり、Hurwitz のゼータ関数が、臨界線上以外にも多くの複素零点を持っていることを表わしている。

 次は、単に美しいという理由で描いた二変数関数としてのAbs(ζ(1/2+xi, α))のグラフであるが、αの連続変化に伴う変遷が分かる。③と④は、α軸のスケールを指数関数的にした場合である。

 複素変数の Hurwitz ゼータ関数ζ(z, 0.4)のグラフ。
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Hurwitz ゼータ関数ζ(z, 0.8)のグラフ。
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Hurwitz ゼータ関数ζ(z, 1+0.2i)のグラフ。
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Hurwitzゼータ関数のグラフ(複素変数)

 アニメーション(5.82MB)
 複素変数の Hurwitz ゼータ関数Hurwitz ゼータ関数の記号のグラフ。α=0.02~1 (+0.02)。
  • Hurwitz ゼータ関数のグラフ(複素変数:動画)

 ①αの変化によって、Hurwitz ゼータ関数の複素零点の位置が複素平面上でどのように動くかを示した図。
 ② Hurwitz ゼータ関数の第n番目複素零点の位置の実部を、αの関数と見た場合のグラフ。
  (ここに第n番目とは、α=1すなわち Riemann ゼータ関数の虚部が小さい順に数えた第n番目複素零点の摂動とする。)

Dirichlet のL関数

日:DirichletのL関数ディリクレのL関数ディリクレのL級数
英:Dirichlet L-function,仏:Fonction L de Dirichlet,独:Dirichletsche L-reihen

 Euler から始まり現在に至るまで、幾人もの数学者が言わば 「Riemann ゼータ関数の親類」 探しに着手している。そこで発見されたゼータ関数は、しばしばその発見者の名を冠して 「~のゼータ関数」 と呼ばれる。前述の Hurwitz のゼータ関数はその一例である。ここで扱う Dirichlet のL関数も、P. G. L. Dirichlet によって1837年に導入されたゼータ関数であるが※1、「L関数」 と呼ばれる。これは、後述の Dirichlet 指標が付随した級数を考える場合、L関数と称してゼータ関数と区別する習慣が定着したことによる。したがって、「~のL関数」 と呼ばれる一群のゼータ関数も多数存在する。
 現在では Dirichlet の業績に因み、一般に
Dirichlet級数の一般形
の形の級数を「Dirichlet 級数」と呼ぶ。 Riemann のゼータ関数はa(n)=1となる特別な場合である。同様に重要な Dirichlet 級数として、前述の「Dirichlet のL関数」
  • Dirichlet-L関数の定義式
が定義される。ここにχ(n)は Dirichlet 指標と呼ばれる整数Z上の複素数値関数で、mを自然数 (法, モジュラス, モジュロ等と呼ばれる) とするとき、次の3条件を満たす。
1.χ(n1)・χ(n2)=χ(n1・n2)が任意の整数n1, n2で成立する(乗法性)
2.χ(n+m)=χ(n)が任意の整数nで成立する(周期性)
3.χ(n)≠0となるのはnと法mとが互いに素な場合に限る
 Dirichlet 指標は、必ずχ(-1)=1またはχ(-1)=-1のどちらかになり、前者を偶指標、後者を奇指標と呼ぶ。また、値域が0, ±1のみである場合を実指標、その他を複素指標と呼ぶ。なお、複素指標の値は0を除いて必ず絶対値が1になる。
 法がmとなる Dirichlet 指標は、全部でφ(m)個ある(φEuler のトーシェント関数)ので、順にインデックスjで番号を付けてχ{m, j}(n)のように表記される。それらの内訳は次のような性質の違う指標から成る。mμと異なるμの約数になるとき、
  • Dirichlet指標(原始・非原始指標の関係)
と表わされるならば、「χ{μ, κ}(n)χ{m, j}(n)から誘導される」といい、χ{m, j}(n)が他のいかなる指標からも誘導されない場合これを原始指標、そうでないときを非原始指標という。 例えば、単位指標(または主指標)と呼ばれる
  • Dirichlet指標(単位指標の定義)
は、原始指標χ{1, 1}(n)から誘導されるので、μ=1以外は非原始指標となる。原始指標χ{m, j}(n)と非原始指標χ{μ, κ}(n)に対する Dirichlet のL関数は、有限積の因子を介して互いに
  • Dirichlet-L関数(原始・非原始指標間の関係)
の関係にある。よって Dirichlet のL関数は、原始指標の場合がより本質的であるといえる。
 Dirichlet のL関数は、原始指標の場合に限って準対称関数等式
  • Dirichlet-L関数(関数等式)
を満たす。ここに、Conju(χ)χの複素共役、aは指標の偶・奇にしたがって0または1になり、G(χ)は「Gauss の和」と呼ばれる複素数因子
Gaussの和(定義式)
である。さらに実指標でもある場合は、Conju(χ)=χ並びにG(χ)=i^a*Sqrt[m]となるので、明らかに関数等式は完全な対称形になる。
 以上のことから、とりわけ実原始指標の場合が重要とされる。実原始指標は、前述とは別方法で定義される Kronecker 指標χD(n)によっても表わせる。ここに法はAbs(D)となり、Dは次の2条件のどちらかを満たす整数で、(二次体の) 基本数 (または基本判別式) と呼ばれる。
1.D≡1(mod 4)かつDは平方因子を含まない
2.D≡0(mod 4)かつD/4は平方因子を含まず、かつ
  D/4≡2(mod 4)またはD/4≡3(mod 4)
このとき、χD(n)は次によって網羅される。
  • Dirichlet指標χD(n)の定義
ここに、Jacobiの記号 (N/n)Jacobi の記号である。
 そもそも Dirichlet がこの関数を導入した目的は、nおよびk>1を互いに素な自然数とするときの等差数列
n, n+k, n+2k, n+3k,・・・
の中に素数が無限に現れること(Dirichlet の算術級数定理)を証明するためであった。その後※1、Riemann のゼータ関数についての重要な性質が明らかになると、Dirichlet のL関数についても同様のアプローチが試みられて、
1.Euler の素数積表示式に相当する式を満たす(前述のとおり)。
2.引数sが特定の整数であるときに特殊値を持つ。
3.準対称的な関数等式を満たす(前述のとおり)。
4.単位指標のときs=1を唯一の極とする有理型関数、その他は超越整関数になる。
等が判明した。このような Riemann のゼータ関数との類似性や、数値計算による複素零点の検証結果に基づいて、Dirichlet のL関数に対する「一般化された Riemann 予想」

「原始指標に対するL(s, χ)の複素零点は、すべて1位でRe(s)=1/2(臨界線)上のみに存在する。」

が立てられているが、いかなる原始指標χの場合についても、まだ証明されていない。
 すべての Dirichlet のL関数がRe(s)≧1で零点を持たないことは素数積表示式等から導ける。このうち、複素原始指標の場合では、零点を持たない領域を臨界線側へわずかに広げられることが知られている。しかし、実原始指標の場合でも同じ領域まで広げられるかは不明で、この拡張領域内の実軸上に多くても1個の零点を持つ可能性が残されている。この仮想的な零点は「Landau - Siegel の零点」と呼ばれるが、具体的な例以前に存在自体も証明されていない。もし、その存在が証明されれば、双子素数が無限に存在することも同時に証明される。
 Dirichlet のL関数および指標は、二次形式論と呼ばれる数論の一分野でよく現れる。特に、実原始指標に対する Dirichlet のL関数のs=1での有界値
  • Dirichlet-L関数のs=1での値:L(1,χD)
は、特殊線形群SL(2,Z) (→楕円モジュラー楕円の頁を参照) で変換を受けてもその判別式 (前述の基本数) が同値となる二元二次形式の個数「類数」と密接な関係がある。また、素数を素イデアルに拡張した場合のゼータ関数である Dedekind のゼータ関数は、付随する代数的数体が二次体や円分体の場合、Riemann のゼータ関数と有限個の Dirichlet のL関数との積に還元される。

【註記】
※1 : 1837年は、Riemann がゼータ関数の研究結果を発表した1859年よりも早いことに注意。なお、(指標の理論は除いて) Dirichlet のL関数のうち特殊なL(s, χ{4, 2})だけは、Euler も研究していた。さらに、15世紀には既に知られていた Madhava - Leibniz 級数
Madhava-Leibniz級数
は、s=1におけるL(s, χ{4, 2})の値と解釈できる。

χ{m, j}(n), χD(n)

 Dirichlet 指標のグラフ。1周期ごとに点の色を交互に変えている。
 なお、単位指標の場合は0と1からなる更に単純なグラフになるので描画しない。
【実原始指標】
 順に、①χ{4, 2}(n), χ-4(n),②χ{8, 2}(n), χ8(n),③χ{8, 4}(n), χ-8(n)

 順に、①χ{3, 2}(n), χ-3(n),②χ{5, 3}(n), χ5(n),③χ{7, 4}(n), χ-7(n)

【複素原始指標】
 順に、①χ{5, 4}(n),②χ{7, 2}(n),③χ{7, 3}(n)

L(s, χ{m, j}), L(s, χD)

【実原始指標に対する Dirichlet のL関数】
 実変数の Dirichlet のL関数のグラフ。
 特にL(s, χ{4, 2})は Catalan のベータ関数とも呼ばれ、その特殊値L(2, χ{4, 2})=0.915966...を Catalan の定数という。
 ①L(x,χ{4, 2})=L(x,χ-4), L(x,χ{8, 2})=L(x,χ8), L(x,χ{8, 4})=L(x,χ-8)
 ②L(x,χ{3, 2})=L(x,χ-3), L(x,χ{5, 3})=L(x,χ5), L(x,χ{7, 4})=L(x,χ-7)

 臨界線上の Dirichlet のL関数のグラフ。
 ①Abs(L(1/2+xi,χ{4, 2})), Abs(L(1/2+xi,χ{8, 2})), Abs(L(1/2+xi,χ{8, 4}))
 ②Abs(L(1/2+xi,χ{3, 2})), Abs(L(1/2+xi,χ{5, 3})), Abs(L(1/2+xi,χ{7, 4}))

 ①Re(L(1/2+xi,χ{4, 2})), Im(L(1/2+xi,χ{4, 2})),②Re(L(1/2+xi,χ{8, 2})), Im(L(1/2+xi,χ{8, 2}))
 ③Re(L(1/2+xi,χ{8, 4})), Im(L(1/2+xi,χ{8, 4}))

 ①Re(L(1/2+xi,χ{3, 2})), Im(L(1/2+xi,χ{3, 2})),②Re(L(1/2+xi,χ{5, 3})), Im(L(1/2+xi,χ{5, 3}))
 ③Re(L(1/2+xi,χ{7, 4})), Im(L(1/2+xi,χ{7, 4}))

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{4, 2})=L(z,χ-4)のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{8, 2})=L(z,χ8)のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{8, 4})=L(z,χ-8)のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{3, 2})=L(z,χ-3)のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{5, 3})=L(z,χ5)のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{7, 4})=L(z,χ-7)のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

【複素原始指標に対する Dirichlet のL関数】
 臨界線上の Dirichlet のL関数のグラフ。 (複素指標の場合は、一般に実軸上で実数値をとらない。)
 Abs(L(1/2+xi,χ{5, 4})), Abs(L(1/2+xi,χ{7, 2}))
  • DirichletのL関数のグラフ(臨界線上)

 ①Re(L(1/2+xi,χ{5, 4})), Im(L(1/2+xi,χ{5, 4})),②Re(L(1/2+xi,χ{7, 2})), Im(L(1/2+xi,χ{7, 2}))

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{5, 4})のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{7, 2})のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

【単位指標に対する Dirichlet のL関数】
 実変数および臨界線上の Dirichlet のL関数のグラフ。法が1でない単位指標に対する Dirichlet のL関数は、臨界線上とそうでない複素零点の両方を持つ。(このうち、臨界線上の零点は Riemann ゼータ関数に由来するため、固有の零点ではない。)
 L(x,χ{10, 1})
  • DirichletのL関数のグラフ(実変数)

 ①Abs(L(1/2+xi,χ{10, 1})),②Re(L(1/2+xi,χ{10, 1})), Im(L(1/2+xi,χ{10, 1}))

 複素変数の Dirichlet のL関数L(z,χ{10, 1})のグラフ。
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)
  • DirichletのL関数のグラフ(複素変数)

G(χ)=G(χ{m, j})

 法mとインデックスjの関数としての Gauss の和が定める複素数値を可視化する。(色は複素偏角の色相環に基づく。)
  • Gaussの和のグラフ
  • Gaussの和のグラフ

Ramanujan のゼータ関数

日:Ramanujanのゼータ関数ラマヌジャンのL関数
英:Ramanujan L-function,仏:Fonction L de Ramanujan,独:Ramanujan L-funktion

 Dirichlet のL関数が、Dirichlet 指標なる数論的関数からつくられるゼータ関数であるように、ここで扱う Ramanujan のゼータ関数(または Ramanujan のL関数)は、保型形式の Fourier 係数を指標とするゼータ関数であるといえる。
 後述のとおり、保型形式から得られるゼータ関数も多数存在するが、Ramanujan のゼータ関数はその一例を与える最初の関数として、S. Ramanujan によって発見された。具体的に Dirichlet 級数で表示すると、
  • Ramanujanゼータ関数(Dirichlet級数表示)
となる。ここに係数τ(n)は Ramanujan のタウ関数と呼ばれる整数値関数で、次のように保型形式を Fourier 級数展開したときの係数として現れる。(これは判別式と呼ばれる保型形式で、さらに尖点形式という特別な例になっている。→ 楕円モジュラー形式を参照。)
  • τ(n)の母関数(保型判別式)
なお Ramanujan のタウ関数の符号(正負)は、上記のように不規則であり、絶対値も下記のグラフにあるとおり単調増加ではない。Ramanujan は、タウ関数の数論的な性質について二三の予想を立てた。後述の Fourier 係数が満たす不完全形の乗法性は、タウ関数に対する予想の一つを包含している。これらの予想のうち、タウ関数の絶対値に対する上限値評価を表わす「Ramanujan 予想」
Ramanujan予想
のみが長年残されたが、1974年、P. Deligne によって証明された。
 Ramanujan のゼータ関数は、分母がp^(-s)の二次式である有理関数項からなる Euler 積表示式
  • Ramanujanゼータ関数(Euler積表示)
で表わせるため、「二次のゼータ関数」 と呼ばれることもある。また、対称的な関数等式
  • Ramanujanゼータ関数(関数等式)
を満たし、解析接続によって超越整関数であることが導けるなど、Ramanujan のゼータ関数も Riemann のゼータ関数と同様に良い性質を持っている。そのため、Ramanujan のゼータ関数に対しても「Riemann 予想」

Lτ(s)の複素零点は、すべて1位でRe(s)=6(臨界線)上のみに存在する。」

が立てられているものの、現在でも証明されていない。また、Ramanujan のゼータ関数は計算が難しく、特に臨界線上を虚部が大きい方向へ辿るほど評価が難しくなる。最初の数十個の複素零点であっても、実際に臨界線上に存在することを数値計算で確認できるようになったのは1970年代以後のことである※1。
 Ramanujan のゼータ関数は、主に保型形式が関係する数論の問題に時々現れる。任意の自然数nk個の整数m(k)によって
n=m(1)^2+m(2)^2+・・・+m(k)^2
と表わす方法の個数をr k(n)とするとき、これを指標とする Dirichlet 級数はk=24のときに
  • 平方和 r24(n)を係数とするDirichlet級数の表示
となる※2。
 Ramanujan のゼータ関数を含む、より一般的なモジュラー形式から得られるゼータ関数の例は次のようになる。f(z)を重さkモジュラー形式とする。すなわち、
  • 保型形式f(z)の満たす保型性とFourier級数
のように関数等式を満たし、Fourier 級数に展開されるとする。このとき、f(z)に対して変換
  • Hecke作用素による保型形式f(z)の変換
を引き起こす作用素Hecke作用素Tnを「Hecke 作用素」という。特に偶数k≧4のときは、すべてのnに対してTn[f(z)]=λn*f(z)となる。定数λnは Hecke 作用素の固有値、このときのf(z)は Hecke 固有形式と呼ばれる。この特別な場合において、上記の Fourier 級数にも Hecke 作用素を施してα(1)=1で規格化すれば、Fourier 係数は
Fourier級数α(n)の不完全乗法性
なる(不完全形の)乗法性を持つ数論的関数になっていることが導かれる。このことから、α(n)を指標とする Dirichlet 級数は
  • Hecke作用素によるゼータ関数(Dirichlet級数、Euler積)
のように Euler 積表示式でも表わせることが分かる。現在このゼータ関数は「Hecke 作用素によるゼータ関数」と呼ばれ、関数等式を満たす等の良い性質を持つのでRe(s)=k/2を臨界線とする Riemann 予想の類似がある。
 Hecke 作用素によるゼータ関数は、k=4, 6, 8, 10, 14等のときζ(s)ζ(s-k+1)に還元されるが、k=12, 16, 18, 20等のときはf(z)が尖点形式を含むため Riemann のゼータ関数に還元できない関数になる。なお、後者のうちk=12の場合が Ramanujan のゼータ関数である。
 現在では、上記以外にも保型形式から得られるゼータ関数の様々な例が見出され、数論を始めとする数学の諸問題を解くために応用されている。特に、そのようなゼータ関数の例として、
  • EichlerのL関数の定義
があり、これも Ramanujan によって初めて発見された。なお、付随する保型形式は尖点形式でもある (→ 保型性, グラフは 「Dedekind のエータ関数」 に掲載)。このゼータ関数は超越整関数で、Euler 積表示式や関数等式
  • EichlerのL関数のEuler積と関数等式
を満たし、Re(s)=1を臨界線とする Riemann 予想の類似もある。さらに、この関数の特筆すべき事として、Fourier 係数c(p) (p∈Prime)
  • EichlerのL関数と楕円曲線の関係
①楕円曲線のグラフ。 ②楕円曲線の合同式のグラフ。

にもなっている(ただし上記関係式は、無限遠点となる楕円曲線上の点は個数に含めない場合)ことが挙げられる。これは1954年に M. Eichler が証明した※3。R. P. Langlands はこのようなゼータ関数と保型形式との結び付きをさらに一般化すること、延いては数学の異なる分野の統合を推し進めることを促し、彼が立てた数々の予想や展望は、現在 「Langlands プログラム」 と総称されている。
 現在では、一般に楕円曲線の合同式の解の個数から得られる指標を係数とする Dirichlet 級数(によるゼータ関数)は、同時に重み2の保型形式の Fourier 係数を指標とするゼータ関数でも表わされること (モジュラー性定理) が知られている。A. J. Wiles と R. L. Taylor は、ある特別な場合の楕円曲線に対するモジュラー性定理を証明したが、Fermat の最終定理の代数方程式はこのモジュラー性定理(が正しいと仮定したとき)に該当しない楕円曲線に由来することが既に知られていたので、その系として Fermat の最終定理も同時に証明された。
 Eichler のL関数や Fermat の最終定理の証明手法は、Langlands プログラムの成功例としてよく引き合いに出され、他の未解決問題を考える場合にも指針の一つとなっている。

【註記】
※1 : 例えば、R. Spira 「Calculation of the Ramanujan τ-Dirichlet Series」Mathematics of Computation, vol.27, No.122, (1973) p. 379-385. 等。

※2 : J. M. Borwein, K. - K. S. Choi 「On Dirichlet Series for Sums of Squares」The Ramanujan Journal, vol.7, (2003) p. 95-127.

※3 : この関数の標準名称はないので、以下ではこれを 「Eichler のL関数」 と呼ぶことにする。
 なお、この例のように Euler 積表示式に異常な項を発生させる有限個の素数 (この場合は11) は、しばしば通称で 「悪い素数」 と呼ばれる。正式には「導手 (Conductor)」といい、数論のほか様々な場面で不思議な現象を起こす。

Lτ(z)

 実変数の Ramanujan ゼータ関数のグラフ。
 ①実軸上。②実軸上のうち、関数値の絶対値が小さい部分を拡大した場合。ζ(x)ζ(x-11)に漸近する。

 臨界線上の Ramanujan ゼータ関数のグラフ。①絶対値のグラフ。②実部と虚部のグラフ。

 複素変数の Ramanujan ゼータ関数のグラフ。
  • Ramanujanゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Ramanujanゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Ramanujanゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Ramanujanゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Ramanujanゼータ関数のグラフ(複素変数)

 Ramanujan ゼータ関数の臨界帯は、領域11/2<Re(z)<13/2である。
  • Ramanujan ゼータ関数のグラフ(複素変数、臨界帯)

τ(n)

 Ramanujan のタウ関数の絶対値Abs(τ(n))のグラフ。 縦軸は対数目盛にしている。
  • Ramanujanのタウ関数の絶対値のグラフ
  • Ramanujanのタウ関数の絶対値のグラフ

 Deligne が証明した Ramanujan 予想をp^(-11/2)Abs(τ(p))/2 (p∈Prime)のグラフで確認するとともに、n^(-11/2)Abs(τ(n))/2のグラフも描画する。 前者が1を超えることは(証明されているので)無いが、後者が1を超えることは頻繁にある。
  • Ramanujanのタウ関数(Ramanujan予想のグラフによる確認)

L(s,E11)

 実変数の Eichler のL関数のグラフ。
  • EichlerのL関数のグラフ(実変数)

 臨界線上の Eichler のL関数のグラフ。①絶対値のグラフ。②実部と虚部のグラフ。

 複素変数の Eichler のL関数のグラフ。
  • EichlerのL関数のグラフ(複素変数)
  • EichlerのL関数のグラフ(複素変数)
  • EichlerのL関数のグラフ(複素変数)
  • EichlerのL関数のグラフ(複素変数)
  • EichlerのL関数のグラフ(複素変数)

c(n)

 尖点形式η(τ)^2*η(11τ)^2の Fourier 係数の絶対値Abs(c(n))のグラフ。 増加は Ramanujan のタウ関数に比べると緩慢である。
  • 尖点形式のFourier係数c(n)の絶対値のグラフ
  • 尖点形式のFourier係数c(n)の絶対値のグラフ

Ramanujan - Siegel 関数

 この関数は、Riemann のゼータ関数に対する非自明零点の数値計算を目的とした、前述の Riemann - Siegel 関数と同様に、Ramanujan のゼータ関数に対しても
Ramanujan-Siegel関数(定義式)
と定義し、数値計算による探索を容易にしたものである。ここに
  • Ramanujan-Siegelシータ関数(定義式)
である。上記の定義から、Ramanujan - Siegel 関数はt=±6i, ±7i, ±8i, ±9i,・・・に代数分岐点を持つ偶関数で、虚軸上の区間[2ni, (2n+1)i][-(2n+1)i, -2ni] (n=3, 4, 5, 6,・・・)に分枝切断線が引かれる。
 なお、Ramanujan - Siegel という関数名は仮称であって、Ramanujan や Siegel が定義したという意味ではない。

Ζτ(z)

 実変数の Ramanujan - Siegel 関数のグラフ。いずれも赤線が Ramanujan - Siegel 関数であるが、緑の線は
 ①θτ(x),②sin(θτ(x))
である。②において緑の曲線がx軸と交差する点は、Gram 点の類似と見ることができる。

 複素変数の Ramanujan - Siegel 関数のグラフ。
  • Ramanujan-Siegel関数のグラフ(複素変数)
  • Ramanujan-Siegel関数のグラフ(複素変数)
  • Ramanujan-Siegel関数のグラフ(複素変数)
  • Ramanujan-Siegel関数のグラフ(複素変数)
  • Ramanujan-Siegel関数のグラフ(複素変数)

Dedekind のゼータ関数

日:Dedekind のゼータ関数デーデキント ζ 関数
英:Dedekind zeta function,仏:Fonction zêta de Dedekind,独:Dedekindsche Zetafunktion

 Dedekind のゼータ関数とは、代数体における代数的整数は素因数分解の一意性を持たないが、代数的整数環のイデアルは素イデアル分解の一意性を持つという事実に基づいて定義されるゼータ関数で、1877年に J. W. R. Dedekind が初めて導入した。したがって、代数的整数論における様々な問題の証明や理論の表現に Dedekind のゼータ関数が用いられている。
 なお、この関数の説明にはイデアル等の前準備が必要なので、以下では始めにそれらの概要について触れ、その後に Dedekind のゼータ関数を説明するという順を踏む。(当サイト中での関数の説明文としては長い方になるが、それでも充分な説明になっていない。詳細については他の情報源も参照して欲しい。)

【準備1:代数体とその整数環】
 有理数係数のn次代数方程式
  • 有理数係数のn次代数方程式
の解 (代数的数:有理数の拡張) の一つをθとするとき、
  • n次体
と書ける数の集合Kは体を成し、「n次体 (またはn次代数体)」 と呼ばれる。特に、二次体では平方因子を含まない自然数をdとするとき、Q(Sqrt[d])を 「実二次体」、Q(Sqrt[-d])を 「虚二次体」 と呼んで区別する。
 Kのうち、整数係数のn次代数方程式
  • 整数係数のn次代数方程式
の解 (代数的整数:整数の拡張) にもなっている元で構成される部分集合O(k)は環を成し、「Kの整数環」 と呼ばれる。

【準備2:代数体の共役体と判別式】
 まず共役数が必要となる。共役数とは、代数的数θが与えられたとき、θを解に含む有理数係数の (0でない) 代数方程式のうち、次数が最小で最高次項の係数が1となるもの (最小多項式と呼ばれる) の解すべてをいう。その次数がnならば、θの共役数はθ1...θnn個あり、θはそのうちの一つと同じとなる。
 このとき、n個のn次体K(i)=Q(θi),(i=1,...,n)を 「Kの共役体」 という。(よって、Kはそのうちの一つと同じとなる。)
 さらにK(i)は、θi∈Rの場合の 「実共役体」 と、それ以外の 「虚共役体」 に分けられ、実共役体をr1個、虚共役体 (ただし、Conjugate[θi]=θj,(i≠j)となる場合はどちらか一方をカウントする) をr2個とすれば、ri + 2*r2 = nとなる。
 n次体Kの整数環O(k)の元αが、O(k)の基底ω1...ωnを用いて
  • n次体の整数環の任意の元α
と書けるとき、各ωnごとにn個の共役数をωn1...ωnnと定めれば、Kの判別式D(k)
n次体Kの判別式
で与えられる。

【準備3:イデアルの概要】
 可換環Rの部分集合a (≠[EmptySet])が、
イデアルの定義
となるとき、aRのイデアルという。単位元 (1に相当する) を持つRの元をa1,...,aiとするとき、Rのイデアルaは集合
  • イデアルの集合表記
の形にも書けて、しばしばIdeal:a=(a1,...,ai)と略記される。特にIdeal:a=(a1)は単項イデアルと呼ばれる。すなわち、
  • 単項イデアルの集合表記
である。つまりイデアルとは、RRの元a1,...,aiで定数倍した集合 (整数環Zに対する偶数集合2Zのような) のことであり、二つのイデアルa, bの間では、常に 「最大公約数」Gcd[a, b]と 「最小公倍数」Lcm[a, b]が存在し、
  • イデアルの和および共通部分集合
で定められる。また、イデアルIdeal:a=(a1,...,ai), Ideal:b=(b1,...,bj)の積は
  • イデアルの積
となる。さらに、単位元を持つRのイデアルp (p≠R)が、
素イデアルの定義
となるとき、pは 「素イデアル」 と呼ばれる。
 なお、環Rのイデアルは特に 「整イデアル」 と呼ばれるが、Rを含む体 (有理数体の拡張) のイデアルも定義され、「分数イデアル」 と呼ばれる。
 以下では、ほとんどの場合R=O(K)のもとで話を進める。

【準備4:イデアルのノルム】
 a (≠[EmptySet])を、O(k)の整イデアルとするとき、aのノルムN(a)は、
イデアルのノルムの定義
で与えられる。ここにAbs[O(k)/a]は、O(k)aで割った剰余環O(k)/aの元の個数を意味し、[O(k):a]は、aの拡大体としてのO(k)aの何次元ベクトル空間で張られるかを表わす値である※1。よって、N(a)は非負整数となる。
 同様に、a, bO(k)の整イデアルとするとき、ノルムは乗法性
イデアルのノルムの乗法性
を持つ。特に、aが素イデアルp1,...,piの積として
  • 素イデアルによる整イデアルの一意分解
のように一意分解されるならば、
整イデアルの一意分解とノルムの乗法性
となることが従う。

【Dedekind のゼータ関数】
 以上の準備を経て、一般のn次体Kに対する Dedekind のゼータ関数
Dedekindのゼータ関数の定義(Dirichlet級数)
が定義される。ここに、和はKの整イデアルa (≠[EmptySet])全体をわたるものとする。もしK=Qならば、ζK(s)=ζ(s) (Riemann のゼータ関数) となる。前述の素イデアル分解の一意性から、Euler 積表示式
  • Dedekindのゼータ関数の定義(Euler積)
が導かれる。ここに、積はaの素イデアルp全体をわたるものとする。
 ζK(s)は、s=1に1位の極を持つほかは正則な有理型関数である。また、対称的な関数等式
  • Dedekindのゼータ関数の関数等式
を満たす。以上のことから、ζK(s)の自明零点は正でない実軸上にあり、非自明零点は臨界帯0<Re(s)<1内に限られることが導かれる。よって、Dedekind のゼータ関数についても 「一般化された Riemann 予想」

ζK(s)の複素零点は、すべて1位でRe(s)=1/2上のみに存在する。」

が立てられているが、いかなる代数体Kの場合に対しても、まだ証明されていない。
 Kが二次体や円分体の場合、Dedekind のゼータ関数は後述のとおり Riemann のゼータ関数に有限個の Dirichlet - L関数をかけたものに還元される。以下に掲載しているグラフも、ほとんどはこの特別な場合である。(一般的な場合は非常に難しい。理由等は 「註記 ※2, ※3」 を参照。)

【Dedekind のゼータ関数:二次体の場合】
 平方因子を含まない整数をdとするとき、二次体K=Q(Sqrt[d])の Dedekind のゼータ関数は、
Dedekindのゼータ関数(二次体の場合)
となる。ここに、判別式D(k)
  • 二次体の判別式
となり、これは二次体の基本数Dに等しい (→ Dirichlet のL関数) 。(-1)^a =χD(-1)とするとき、関数等式に必要な各定数は、r1=2-2a, r2=aおよび、A = 2^(-a)π^(-1)Sqrt[Abs[D]]となる。Kが実二次体ならば、ζK(s)s=0で1位の、s =-2,-4,-6,...で2位の自明零点を持ち、Kが虚二次体ならば、ζK(s)s =-1,-2,-3,...で1位の自明零点を持つ。

【Dedekind のゼータ関数:円分体の場合】
 1のm乗根の一つをζm = exp[2πik/m] (mは奇素数で、kと互いに素) とする。円分体K=Q(ζm)の Dedekind のゼータ関数は、
Dedekindのゼータ関数(円分体の場合)
となる。ここに、有限積は単位指標χ1を除いた法mの原始指標χ全体をわたるものとする。
判別式はD = (-1)^(m-1)/2*m^(m-2)となり、関数等式に必要な各定数は、r1=0, r2=(m-1)/2, および A = (2π)^-(m-1)/2*Sqrt[Abs[D]]となる。このとき、ζK(s)s=0(m-3)/2位の、s =-1,-2,-3,...(m-1)/2位の自明零点を持つ。

【Dedekind のゼータ関数:純三次体の場合】
 虚二次体や特殊な三次体 (純三次体など) の Dedekind ゼータ関数は、二元二次形式をわたる Dirichlet 級数によっても表わせる。(以降、二元二次形式を単に 「二次形式」 と記す。)
 虚二次体をQ(Sqrt[-d]), 判別式をDとするとき、その Dedekind ゼータ関数は、
  • 二次形式表示のDirichlet級数(虚二次体)
となる。ここに、h(D)は類数、C(n)h(D)個あるQ(Sqrt[-d])のイデアル類であり、二次形式二次形式 f(x,y)=a*x^2+b*xy+c*y^2C(n)ごとに定まる※4。ところが、この形の Dirichlet 級数は実解析的 Eisenstein 級数によって表わせるので、計算が可能となる。例えば、Q(Sqrt[-5])の場合は具体的に
  • 二次形式表示のDirichlet級数(虚二次体)の例
となる。
 純三次体純三次体 Q(m^(1/3))(mは、三乗因子を含まない自然数) の Dedekind ゼータ関数も、同様に類数ごとに定まる二次形式にわたって、
  • 二次形式表示のDirichlet級数(純三次体)
となる。具体的な表示式は、下記のグラフとともに掲載している※5。

【註記】
※1:剰余環O(k)/aとは、
  • 剰余環
と表わされる有限集合である。つまり、O(k)の元をa (mod Ideal(a))の違いで分割した有限個の部分集合から成る集合のことである。
 また、拡大体記号の分かりやすい例としては、実数体Rの拡大体である複素数体Cに対して[C:R]=2、有理数体Qの拡大体であるn次体Kに対して[K:Q]=nなどが挙げられる。

※2:イデアル等のイメージが掴みやすくなるよう、以下では具体的に二次体K=Q(Sqrt[-5])の場合を例にとって説明する。
 Sqrt[-5]は最小多項式z^2+5=0の解の一つとなるので、共役数はSqrt[-5], -Sqrt[-5]の2個であるが、Conlugate[-Sqrt[-5]]=Sqrt[-5]なのでr1=0, r2=1となる。Kの元はa+b*Sqrt[-5] (a, b∈Q)の形に書けるから、O(k)の基底は1, Sqrt[-5]、その共役数は1, -Sqrt[-5]となり、判別式は
Q(Sqrt[-5])の判別式
となる。
 以下pは素数とする。Kの素イデアル素イデアルp(p)をいくつか列挙すれば、
  • Q(Sqrt[-5])の素イデアル
となる (これの求め方は、例えば 「数学セミナー増刊号:入門|現代の数学[5]数論への出発 (1980)」 にある) 。一方、単項イデアル単項イデアル(p)(p)≠p(p)ならば素イデアルではないので、次のように素イデアルの積に一意分解される。
(なお、以下の演算では、Ideal:a=(a1,...,ai)の基底a1,...,ai∈O(K)が公倍数b∈O(K)を持つときは(b)を括り出して良く、また、a1,...,aiのうち最低でも2数がO(k)の互いに素な既約元 (この場合は2, 3, 1+Sqrt[-5], 1-Sqrt[-5]のうち異なる2数) になればa=(1)として良いことを用いている。これは 「Euclid の互除法」 に基づくが、この事の分かりやすい説明が、辻 順平氏 「tsujimotter のノートブック」 (http://tsujimotter.hatenablog.com/entry/ideal-z5) にあるので参照して欲しい。)
  • 単項イデアルの素イデアル分解
 同様の演算により、合成数による単項イデアルも、次のように素イデアルの積に一意分解される。(赤線部分のように、Q(Sqrt[-5])を数の世界で考える限り、6の分解方法は2通り存在してしまう。しかしイデアルで考えれば、その分解は一意となっている。)
  • 合成数による単項イデアルの素イデアル分解
 なお、一般に二次体Kでの単項イデアル単項イデアル(p)の分解型は、次の3種類に限られる。
  • 二次体における単項イデアルの分解型
 二次体の Dedekind ゼータ関数が、より簡単なゼータ関数の積に還元できるのは、この分解型の違いを用いて、Euler 積表示式を変形できるからである。もっと複雑な形であるが、円分体や一部の3次体でも分解型が知られており、同様のことが可能となる。一般的な場合はそのように上手くいくとは限らないため、計算は非常に難しくなる。
 なお、二次体Q(Sqrt[-5])の整イデアルに対するノルムも、以上の結果から容易に求められることが分かる。

※3:より一般的な代数体に対する Dedekind ゼータ関数の計算方法については、Emmanuel Tollis の論文 「Zeros of Dedekind zeta functions in the Critical strip. (Mathematics of computation, Vol.66, No.219,(1997), p.1295-1321)」 等があるが、その式は大変複雑である。

※4:ここでは、「類数」 や 「イデアル類」 についての説明は省略する。詳細は、鹿野 健 (共著) 「リーマン予想」 等を参照願います。

※5:純三次体の場合の具体的な表示式の例については、Daniel Shanks の論文 「Calculation and Applications of Epstein zeta functions. (Mathematics of Computation, Vol.29, No.129, (1975), p.271-287)」 に多数掲載されている。

Dedekindゼータ関数の記号ζK(s)

 ①実変数、および②,③臨界線上の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号

 複素変数の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)

 ①実変数、および②,③臨界線上の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号

 複素変数の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)

 ①実変数、および②,③臨界線上の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号

 複素変数の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)

Dedekindゼータ関数の記号ζK(s)

 ①,②実変数、および③,④臨界線上の Dedekind のゼータ関数のグラフ。②は、①の一部分を拡大したグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号

 複素変数の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)

 ①,②実変数、および③,④臨界線上の Dedekind のゼータ関数のグラフ。②は、①の一部分を拡大したグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号

 複素変数の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)

 ①,②実変数、および③,④臨界線上の Dedekind のゼータ関数のグラフ。②は、①の一部分を拡大したグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号

 複素変数の Dedekind のゼータ関数のグラフ。
Dedekindゼータ関数の記号
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)

Dedekindゼータ関数の記号ζK(s)

 純三次体純三次体 Q(2^(1/3))の Dedekind のゼータ関数は、次のように表わせる。
  • 二次形式表示のDirichlet級数(純三次体)の例1
 ①実変数、および②,③臨界線上の Dedekind のゼータ関数純三次体Q(2^(1/3))のDedekindゼータ関数の記号のグラフ。

 複素変数の Dedekind のゼータ関数純三次体Q(2^(1/3))のDedekindゼータ関数の記号のグラフ。
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)

 純三次体純三次体 Q(6^(1/3))の Dedekind のゼータ関数は、次のように表わせる。
  • 二次形式表示のDirichlet級数(純三次体)の例2
 ①実変数、および②,③臨界線上の Dedekind のゼータ関数純三次体Q(6^(1/3))のDedekindゼータ関数の記号のグラフ。

 複素変数の Dedekind のゼータ関数純三次体Q(6^(1/3))のDedekindゼータ関数の記号のグラフ。
  • Dedekindゼータ関数のグラフ(複素変数)
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