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Painlevé 超越関数
第1種 Painlevé 超越関数
日:Painlevé超越関数,パンルヴェ超越関数,パンルヴェ関数英:Painlevé transcendents,仏:Fonctions transcendantes de Painlevé,独:Painlevésche transzendente
線形常微分方程式の解の特異点(極、分岐点など)は、方程式中の任意定数や解の初期値に係わらず、必ずその係数(関数)の特異点と一致する。したがって、それらの特異点は個々の解によって位置が変わらない。これを「動かない特異点(fixed singular point)」という。一方、非線形常微分方程式の場合は、一般に動かない特異点を持つと同時に、方程式中の任意定数等によって特異点の位置が変わる「動く特異点(movable singular point)」を持つ。
1階の代数的な非線形常微分方程式
の解にどのような種類の関数が現れるかについては、L. I. Fuchs,H. Poincaré 以来多くの研究を経て、ある程度の解決を見ている。特に、その解の動く特異点が極に限られる場合(これは「Painlevé 性」と呼ばれる)は、線形常微分方程式で定義される特殊関数と楕円関数、および初等関数によって表わされる。よってここからは、19世紀末までに既知の特殊関数(いわゆる古典的特殊関数)以外の新しい関数は生じない。
2階の代数的な非線形常微分方程式
についても、同時代の C. É. Picard,P. Painlevé 等が、方程式の型の分類、出現する特殊関数の研究に着手したが、2階になると一般的に動く分岐点が現れるため困難を極めた。元々、解の様相が完全に解明されている非線形常微分方程式はあまり多くない。例外的に、Weierstrass の楕円関数が満たす非線形常微分方程式
は、楕円関数が種々の良い性質を持つため、明快に論ずることができる (この2階非線形微分方程式は、1階非線形微分方程式に変換できる。さらに、それは変数分離法で解けて、解が第1種楕円積分の逆関数、すなわち楕円関数になる事が分かる)。
そこで Painlevé は、楕円関数と同様に動く特異点が極のみである場合に限ってこの研究を進め、50個の標準的な方程式を見出した。ここから解が既知の関数になる場合を順次除外し、次の3個の方程式を見出した(1900~1902年)。
さらに、Painlevé の計算誤りを修正した B. O. Gambier によってが、同じく Gambier および M. E. R. Fuchs ※1 によってが追加された。
現在では、これら6個の微分方程式を総称して Painlevé 方程式と呼び、の解を、第種 Painlevé 超越関数という(ここでは以降、関数記号としてを用いる)。Painlevé 超越関数は、動く極のほかにに動かない真性特異点を持つ一価有理型関数である。Painlevé 超越関数は、動く極と動かない真性特異点のほかに動かない対数分岐点をに持つ。Painlevé 超越関数は、動く極のほかに動かない対数分岐点をに持つ。
Painlevé 方程式は、パラメータや変数の極限操作によって順次から簡単な方程式へ移行することができる。これを「Painlevé 方程式の退化」という。特別なパラメータ値のとき、を除く Painlevé 方程式は、初等有理関数解と古典的特殊関数(超幾何関数系列)解を持つ場合に還元される。この事を退化関係とともに図示すると、次のようになる。
Painlevé 超越関数は、ある特定のパラメータでの解がひとつ与えられると、それを元にした漸化式によって、次々と異なるパラメータの解を得ることができる。この変換は「Bäcklund 変換」と呼ばれている。
6個の Painlevé 方程式の(前述の還元される特別な場合を除いた)一般的な解が、本当に新しい特殊関数であるかどうかについては、Painlevé の時代から既に論争が起こっていたが、西岡 啓二と梅村 浩による1980年代末の一連の研究によって肯定的に証明された。
M. E. R. Fuchs が楕円体微分方程式のモノドロミー保存変形問題を解く過程でを導いた例、R. Garnier による多変数化への拡張などを別にすれば、Painlevé の時代以降、本格的な研究は一時下火となった。物理学への応用以前に、数学での応用例もない状況が長らく続いたためである。しかし、1973年に数理物理学における Ising 模型(二次元空間での強磁性下における気体分子運動力学に関するモデル)でが現れたのを端緒に、ソリトン(孤立波)理論に関係した sin - Gordon 方程式で、Korteweg - de Vries (KdV)方程式でが現れることが判明するなど、応用例が増えつつある。日本は、旧ソビエト連邦と並んで比較的早い時期からの組織的な研究があり、岡本和夫らによる先駆的な種々の成果が得られている。現在は、世界中の多くの数学者が手掛ける分野として発展しつつある。
ここでは、第1種 Painlevé 方程式の解を具体的にと表記する。ここに、
である。第1種 Painlevé 超越関数の動く極は、常に2位である。計算は、W. Fair と Y. L. Luke による連分数近似法による。
【註記】
※1:M. E. R. Fuchs は、冒頭で述べた L. I. Fuchs の息子である。
※1:M. E. R. Fuchs は、冒頭で述べた L. I. Fuchs の息子である。
実変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
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複素変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第1種 Painlevé 超越関数のグラフ。
第2種 Painlevé 超越関数
Painlevé 方程式のうちでも、第2種は、同じく解が一価有理型関数になるよりも簡易な形の微分方程式で、かつと違って古典的関数(Airy 関数)解を含むなどの理由から、比較的扱いやすいとされる。
数学や物理学への応用例も、Painlevé 方程式の中では比較的多い方になるが、特に興味深い事例として、ランダム行列理論における Tracy - Widom 分布が挙げられる。この分布の確率密度関数は、を除く実軸上で有界となる特別なの解(Hastings - McLeod 解)を用いて表わされる。Riemann ゼータ関数の非自明零点の不規則な間隔を、Tracy - Widom 分布によって確率論的に捉えるという試みもある。
ここでは、第2種 Painlevé 方程式の解を具体的にと表記し、第2種 Painlevé 超越関数という。ここに、
である。第2種 Painlevé 超越関数の動く極は、常に1位である。
を複素数である1の立方根とするとき、変形された第2種 Painlevé 超越関数
は、微分方程式
を満たす。計算は、W. Fair と Y. L. Luke による連分数近似法による。
実変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種 Painlevé 超越関数(Hastings - McLeod 解)のグラフ。
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数(Hastings - McLeod 解)のグラフ。
実変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。
アニメーション(12.30MB)
複素変数の第2種 Painlevé 超越関数のグラフ。=0~7 (+0.1)。
実変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第2種変形 Painlevé 超越関数のグラフ。
第3種 Painlevé 超越関数
ここでは、第3種 Painlevé 方程式の解を具体的にと表記し、第3種 Painlevé 超越関数という。ここに、
である。第3種 Painlevé 超越関数は原点に対数分岐点を持ち、通常はに分枝切断線を置く無限多価関数である。よってこの多価性は、変数になる変換を施して解析接続すると解消されて、一価有理型関数となる。
しばしば、「Alternative な形」と呼ばれる
の解を第3種 Painlevé 超越関数として採用することがある。両者は、なる関係にある。
計算は、W. Fair と Y. L. Luke による連分数近似法を拡張した方法による。
実変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
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実変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第3種 Painlevé 超越関数のグラフ。
第4種 Painlevé 超越関数
第4種 Painlevé 方程式は、解が一価有理型関数になり、特別な場合として古典的関数解を含むなど、と同様に比較的扱いやすい。また第4種 Painlevé 方程式は、著しい対称性を持つ3連1階非線形微分方程式
である。これらの対称的な関数を用いると、第4種 Painlevé 方程式の Bäcklund 変換は大変簡潔に表現できる。またこれに付随して、のいずれもが分母を3とする既約分数でその総和が1になるとき、初等有理関数解となり、のいずれかが整数でその総和が1になるとき、古典的特殊関数(Hermite 関数)解となることが分かる※1。
Painlevé 方程式の対称形式については、第4種のほかに第2種、第5種でも発見されており、これらは野海正俊・山田泰彦による研究が端緒になっている。逆に、対称性を持つ連立非線形微分方程式から、Painlevé 性などの良い性質を持つ3階以上の非線形常微分方程式を導くという方法も、現在盛んに研究されている。
ここでは、第4種 Painlevé 方程式の解を具体的にと表記し、第4種 Painlevé 超越関数という。ここに、
である。
計算は、W. Fair と Y. L. Luke による連分数近似法を拡張した方法による。
【註記】
※1:このことを、の三角座標上の領域として図示すると、次のようになる。(第4種 Painlevé 方程式の Bäcklund 変換の詳細は、後述の 「第4種 Painlevé 方程式の古典関数解」 に記載している。)
※1:このことを、の三角座標上の領域として図示すると、次のようになる。(第4種 Painlevé 方程式の Bäcklund 変換の詳細は、後述の 「第4種 Painlevé 方程式の古典関数解」 に記載している。)
実変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第4種 Painlevé 超越関数のグラフ。
第5種 Painlevé 超越関数
ここでは、第5種 Painlevé 方程式の解を具体的にと表記し、第5種 Painlevé 超越関数という。ここに、
である。第5種 Painlevé 超越関数は原点に対数分岐点を持ち、通常はに分枝切断線を置く無限多価関数である。よってこの多価性は、変数になる変換を施して解析接続すると解消されて、一価有理型関数となる。特に、の場合は(Alternative な)第3種 Painlevé 超越関数に還元される。
計算は、W. Fair と Y. L. Luke による連分数近似法を拡張した方法による。
実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
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実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
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実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第5種 Painlevé 超越関数のグラフ。
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第6種 Painlevé 超越関数
ここでは、第6種 Painlevé 方程式の解を具体的にと表記し、第6種 Painlevé 超越関数という。ここに、
である。第6種 Painlevé 超越関数はに対数分岐点を持ち、通常はおよびに分枝切断線を置く無限多価関数である。よってこの多価性は、変数に楕円モジュラー・ラムダ関数を代入するなる変換を施して解析接続すると解消されて、自然境界を持ち複素半平面で定義される一価有理型関数となる。
M. E. R. Fuchs は、代数的な (Fuchs 型の) 楕円体微分方程式が持つ4個の確定特異点が Riemann 球面上を動くとき、微分方程式の解の多価性 (モノドロミー群) が不変となるように固有値 (アクセサリーパラメーター) を決定するための必要十分条件を求めたが、それは、固有値が確定特異点の位置に依存する値を変数とし、第6種 Painlevé 方程式を満たす関数になるという結果であった。これを、(特異点4個の Fuchs 型微分方程式に対する) モノドロミー保存変形問題という※1。
線形常微分方程式の理論において超幾何関数が要の存在であるように、非線形常微分方程式版のそれは第6種 Painlevé 超越関数になるだろうとの予想もあり、今後の発展が特に期待されている。
計算は、W. Fair と Y. L. Luke による連分数近似法を拡張した方法による。
【註記】
※1:もし、確定特異点が3個ならば、固有値が生じずモノドロミー群 (および一次分数変換の群) が具体的に書き表わせるので、保型関数の Gauss - Schwarz 理論が可能となる。モノドロミー保存変形問題はこれの拡張として現れたものである。逆に、確定特異点が5個以上ならば、固有値は関数として多変数 Painlevé 方程式 (Garnier 方程式) の解となる。
※1:もし、確定特異点が3個ならば、固有値が生じずモノドロミー群 (および一次分数変換の群) が具体的に書き表わせるので、保型関数の Gauss - Schwarz 理論が可能となる。モノドロミー保存変形問題はこれの拡張として現れたものである。逆に、確定特異点が5個以上ならば、固有値は関数として多変数 Painlevé 方程式 (Garnier 方程式) の解となる。
実変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
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実変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
実変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
複素変数の第6種 Painlevé 超越関数のグラフ。
第2種 Painlevé 方程式の古典関数解
日:Yablonskii-Vorob'ev多項式,ヤブロンスキー・ヴォロビエフ多項式英:Yablonskii-Vorob'ev polynomials,仏:Polynôme de Yablonskii-Vorob'ev,独:Yablonskii-Vorob'ev Polynom
第2種 Painlevé 方程式
によって求めることができる。特に、が整数のとき有理関数、が半奇数のとき Airy 関数で表わされる解が含まれる。それらは、
を初期関数 (Seed 解) として前述の Bäcklund 変換を繰り返し施したもので尽くされる。
このうち有理関数解は、多項式の対数微分形の式
として表わすことができる。この多項式は、1959年の A. I. Yablonskii および 1965年の A. P. Vorob'ev による研究結果に基づいて Yablonskii - Vorob'ev 多項式と呼ばれており、現在では、分割数など組合わせ論に関連する重要な性質が多く発見されている。それらのいくつかは、Yablonskii - Vorob'ev 多項式を直接定義する Schur 関数型の表示式
から導かれる。
なお、第1種を除く Painlevé 方程式、ある種の高階 Painlevé 方程式についても有理関数解があり、同様の性質が見出されている。併せて有理関数解は扱い易いため、特定の非線形常微分方程式が Painlevé 性を持つ理由、各種 Painlevé 方程式の一般解全体の構造など、諸研究の手掛かりにもなっている。
第2種 Painlevé 方程式の有理関数解の実変数グラフ。
第2種 Painlevé 方程式の有理関数解の複素変数グラフ。最後のグラフは、暗点が零点,明点が極である(以下同様)。
第2種 Painlevé 方程式の有理関数解の実変数グラフ。
第2種 Painlevé 方程式の有理関数解の複素変数グラフ。
第2種 Painlevé 方程式の Airy 関数解の実変数グラフ。
第2種 Painlevé 方程式の Airy 関数解の複素変数グラフ。
第2種 Painlevé 方程式の Airy 関数解の実変数グラフ。
第2種 Painlevé 方程式の Airy 関数解の複素変数グラフ。
第2種 Painlevé 方程式の Airy 関数解の実変数グラフ。
第2種 Painlevé 方程式の Airy 関数解の複素変数グラフ。
アニメーション(7.52MB)
第2種 Painlevé 方程式の Airy 関数解の複素変数グラフ。=-3~12 (+0.25)。
Yablonskii - Vorob'ev 多項式の複素変数グラフ。多項式であることを踏まえて絶対値と偏角のグラフに留めるが、絶対値が非常に大きくなるので、3次元のグラフの値域は対数目盛とする。
=1~25の Yablonskii - Vorob'ev 多項式の零点を、単一の複素平面上に重ね書きする。
第2種 Painlevé 方程式の有理関数解の極が、Yablonskii - Vorob'ev 多項式のどちらの零点に由来するかを、前者は橙色, 後者は水色で表示する。
(前述のように有理関数解は対数微分で表わされるので、その分母は必ず2個の Yablonskii - Vorob'ev 多項式の積になる。)
第4種 Painlevé 方程式の古典関数解
第4種 Painlevé 方程式の Bäcklund 変換は、前述のとおり対称な3連1階非線形微分方程式
で考えたほうが分かりやすい。上記3種類の関数およびパラメーター間では、4種類の Bäcklund 変換があり、それぞれ次表のように作用する。
また、三角座標上で4種類の Bäcklund 変換を図示すると次のようになる。
以上のもとで、有理関数解および Hermite 関数解は、
を初期関数 (Seed 解) として前述の Bäcklund 変換を繰り返し施したもので尽くされる。以下では、これらのの古典関数解をパラメータで指定して、
一般岡本多項式は次のように定義され、その対数微分として有理関数解が表わされる。
このうち、の場合が (一般でない) 通常の岡本多項式に相当する。1980年代に岡本和夫は、全 Painlevé 方程式の Bäcklund 変換の群構造を明らかにし、Painlevé 超越関数を可解格子模型の解となる 「タウ()関数」 の2階対数微分で構成した※1。第4種に対するタウ関数の特別な例として岡本多項式が得られるので、以後その名が冠せられるようになった。次の一般 Hermite 多項式とともに、上記の一般的な形での定義は野海正俊・山田泰彦による。
一般 Hermite 多項式は次のように定義され、その対数微分として有理関数解が表わされる。
これらの多項式も Schur 関数型の表示式(記述は省略する)を持ち、種々の組合わせ論的な性質が発見される等、第2種の場合と同様の理論が展開されている。
【註記】
※1:タウ関数に成り得る他の例としては Weierstrass の楕円シグマ関数がある。その2階対数微分が Weierstrass の楕円関数となる事と上記の話とは類似関係になっている。(実際、これらの多項式のグラフは原点周辺に限れば、Weierstrass の楕円シグマ関数のそれに似ている。)
※1:タウ関数に成り得る他の例としては Weierstrass の楕円シグマ関数がある。その2階対数微分が Weierstrass の楕円関数となる事と上記の話とは類似関係になっている。(実際、これらの多項式のグラフは原点周辺に限れば、Weierstrass の楕円シグマ関数のそれに似ている。)
① 第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 多項式解の実変数グラフ。。
② となるときの、第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 多項式解の実変数グラフ。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 多項式解の複素変数グラフ。最後のグラフは、暗点が零点,明点が極である(以下同様)。
第4種 Painlevé 方程式の (有理)岡本多項式解の実変数グラフ。。
第4種 Painlevé 方程式の (有理)岡本多項式解の複素変数グラフ。
第4種 Painlevé 方程式の (有理)岡本多項式解の実変数グラフ。。
第4種 Painlevé 方程式の (有理)岡本多項式解の複素変数グラフ。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の実変数グラフ。。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の複素変数グラフ。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の実変数グラフ。。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の複素変数グラフ。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の実変数グラフ。。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の複素変数グラフ。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の実変数グラフ。。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の複素変数グラフ。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の実変数グラフ。。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 関数解の複素変数グラフ。
一般 Hermite 多項式の複素変数グラフ。多項式であることを踏まえて絶対値と偏角のグラフに留めるが、絶対値が非常に大きくなるので、3次元のグラフの値域は対数目盛とする。
一般 Hermite 多項式 (=2~18 (+2)) の零点。
第4種 Painlevé 方程式の (有理) Hermite 多項式解の極が、一般 Hermite 多項式, のどちらの零点に由来するかを、前者は橙色, 後者は水色で表示する。
(前述のように有理関数解は対数微分で表わされるので、その分母は必ず2個の一般 Hermite 多項式の積になる。)
一般岡本多項式の複素変数グラフ。同じく絶対値と偏角のグラフに留め、3次元のグラフの値域は対数目盛とする。
一般岡本多項式 (=9~3 (-3)), (=3~9 (+3)) の零点。
第4種 Painlevé 方程式の (有理)一般岡本多項式解の極が、一般岡本多項式, のどちらの零点に由来するかを、前者は橙色, 後者は水色で表示する。
(同様に、この有理関数解の分母は必ず2個の一般岡本多項式の積になる。)
一般岡本多項式の複素変数グラフ。同じく絶対値と偏角のグラフに留め、3次元のグラフの値域は対数目盛とする。
一般岡本多項式 (=9~3 (-3)), (=3~9 (+3)) の零点。
第4種 Painlevé 方程式の (有理)一般岡本多項式解の極が、一般岡本多項式, のどちらの零点に由来するかを、前者は橙色, 後者は水色で表示する。
(同様に、この有理関数解の分母は必ず2個の一般岡本多項式の積になる。)