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保型関数
数論的保型関数
Klein の楕円モジュラー関数は、特殊線形群の離散部分群が作用した一次分数変換に対して不変な保型関数であった。楕円モジュラー関数は上半平面上で周期関数となり、付随する楕円モジュラー形式が尖点形式を含むなどの良い性質を持っているため、数論のあらゆる分野で現れる最も重要な保型関数となる。John Garrett Leo の論文「Fourier Coefficients of Triangle Functions」(2008, Univ. of California, Los Angeles) によると、でない場合で、かつ基本領域が非コンパクト (その頂点の少なくとも1個が無限遠点または実軸上にある) となる保型関数のうち、数論的に良い性質を持つ例は極めて少なく、特殊線形群の離散部分群がである場合、すなわち
の合成変換全体に対して不変な保型関数が知られている。このうち、実際に同じ変換に対する保型形式が尖点形式を含む例はしかない (Klein の楕円モジュラー関数はの場合である)。これらの保型関数を、ここでは数論的保型関数と呼ぶことにする※1。以下の定義も、J. G. Leo の同論文による。
に関する Eisenstein 級数 (数論的保型形式) が
の形に級数展開されるとするとき※2、もしならば、係数は
で表わされる。ここに、である。
数論的保型関数は、
を満たす。また、基本領域の半分である円弧三角形の各頂点において、次の特殊値をとる。
の場合は、Klein の楕円モジュラー関数 (すなわちの場合) と
の関係にある。
の場合のは、Dedekind のエータ関数によって、
と表わすことができる。
【註記】
※1:基本領域が "コンパクト" な数論的保型関数まで含めれば全部で85種類あり、それらは全て Schwarz の保型関数で表わせる。なお、"数論的" の意味を説明することは省略する。詳細は、志賀 弘典 著 「保型関数:古典理論とその現代的応用 (共立出版 2017年)」 の第8章等を参照。また分野が若干異なるが、に対する実解析的保型形式との関連が、数学セミナー Vol.37, No.8 (1998年8月号) の記事 「セルバーグ予想」 で触れられている。
※2:J. G. Leo の論文では、この Eisenstein 級数をと表記しているが、当サイトでは、むしろ正規化 Eisenstein 級数に相当すると考えてと表記する。実際、となっている。
※1:基本領域が "コンパクト" な数論的保型関数まで含めれば全部で85種類あり、それらは全て Schwarz の保型関数で表わせる。なお、"数論的" の意味を説明することは省略する。詳細は、志賀 弘典 著 「保型関数:古典理論とその現代的応用 (共立出版 2017年)」 の第8章等を参照。また分野が若干異なるが、に対する実解析的保型形式との関連が、数学セミナー Vol.37, No.8 (1998年8月号) の記事 「セルバーグ予想」 で触れられている。
※2:J. G. Leo の論文では、この Eisenstein 級数をと表記しているが、当サイトでは、むしろ正規化 Eisenstein 級数に相当すると考えてと表記する。実際、となっている。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型関数のグラフ。
を複素変数とする数論的保型関数のグラフ。
を複素変数とする数論的保型関数のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型関数のグラフ。
を複素変数とする数論的保型関数のグラフ。
を複素変数とする数論的保型関数のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型関数のグラフ。
を複素変数とする数論的保型関数のグラフ。
を複素変数とする数論的保型関数のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
数論的保型形式
の場合の数論的保型形式は、Dedekind のエータ関数を用いてと表わされる関数を解析接続したものと一致する。
数論的尖点形式は、数論的保型関数の定義式における分母、すなわち
で定義される。これは、基本領域に附随する全ての尖点で値0をとる。
特に、のときは、判別式の定数倍
と表わすことができる。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。2番目は、値域を逆双曲線正弦目盛にした場合 (以下同様)。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
を複素変数とする数論的保型形式のグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的尖点形式のグラフ。
を複素変数とする数論的尖点形式のグラフ。
を複素変数とする数論的尖点形式のグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的尖点形式のグラフ。
を複素変数とする数論的尖点形式のグラフ。
を複素変数とする数論的尖点形式のグラフ。
上半平面内で常に実数値をとる直線上における数論的尖点形式のグラフ。
を複素変数とする数論的尖点形式のグラフ。
を複素変数とする数論的尖点形式のグラフ。
Schwarz の保型関数
日:保型関数英:Automorphic function,仏:Fonction automorphe,独:Automorphe funktion
【一般的な保型関数とPoincaré 級数】
楕円モジュラー関数の所での説明と重複するが、保型関数とは、特殊線形群の離散部分群が
と表わされるとき、二つの条件
*すべてのに対して、を満たす。
*は、任意の尖点の周りで一般に有理型である。
*は、任意の尖点の周りで一般に有理型である。
を満たす、上半平面上の有理型関数のことである (当サイトでは、をある一次分数変換で単位円の内部や外部に移した場合の保型関数も、と本質的に同じ関数とみなす)。その存在領域の自然境界である実軸 (または単位円) を不変にする一次分数変換のみを生じるは、特別に Fuchs 群と呼ばれ、それに関する保型関数は Fuchs 関数と呼ばれる。前述の数論的保型関数や楕円モジュラー関数は、Fuchs 関数の特殊な場合である。
この他にも、作用する領域がに限らないに関する、多種多様な保型関数が存在する。例えばが、基本領域のいくつかの辺が不変実軸 (または不変単位円周)上になる一次分数変換を生じる Fuchs 群ならば、保型関数は複素平面全体を存在領域とし自然境界を持たない (自然境界が退化して Cantor 集合状の孤立特異点を持つ)。またが、実軸等を不変にしない一次分数変換を生じる Klein 群となれば、保型関数の自然境界や孤立特異点列はフラクタル形状になる。これらの境界線や点列は 「極限集合」 と呼ばれる。
上記の最も広い意味での保型関数は、「Poincaré 級数」※1
の二つの商によって表わされる (ただし、Poincaré 級数の総和対象としてのからは、一次分数変換にすると互いに同じ変換となる行列元の重複が、予め取り除かれているとする)。
下図では、広義の保型関数が持つ基本領域の形状を例示する。
Klein 群の保型関数が持つ基本領域の形状は、3次元双曲型非 Euclid 空間を埋め尽くした (球面で囲まれた多面体から成る) 基本領域達の、Riemann 球面による断面上の図形として捉えることができる。この考え方は Poincaré (1881年, 1883年) が先鞭を付け、以後の Klein 群の研究は、一変数の保型関数論と若干異なる方向に発展することとなる。
【Gauss - Schwarz 理論:整数パラメーターの場合】
Gauss の超幾何微分方程式
の線形独立な二つの解をとするとき、これらを、Riemann 面上の閉曲線に沿って解析接続すれば
の形に変わることが、線形微分方程式論から保証される。よって、二つの解の比の逆関数は、
として超幾何微分方程式のを決めるとき、は有理型関数となる。このとき
①: → は初等有理関数 (Galois 的有理関数)、定義域は楕円型非 Euclid 平面。
②: → は楕円関数 (の特別な例)、定義域は Euclid 平面。
③: → は保型関数、定義域は双曲型非 Euclid 平面 (円の内部)。
②: → は楕円関数 (の特別な例)、定義域は Euclid 平面。
③: → は保型関数、定義域は双曲型非 Euclid 平面 (円の内部)。
となる。①, ②の場合は有限種類しかないが、③は無数にある。③は Fuchs 関数のさらに特別な例になっており、Schwarz の保型関数あるいは三角形関数と呼ばれ、円の内部を存在領域とする有理型関数となる。これは、楕円モジュラー関数と本質的に異なる保型関数を構成した、最初の理論体系の例であり、現在ではそれを 「Gauss - Schwarz 理論」 と呼ぶ※2。
ただし、Schwarz の研究は①を解明することに主軸が置かれ、未知の超越関数③については具体的な定義・構成をしなかった (円弧三角形から成る基本領域が円の内部を一重に覆うことは証明した)。程なく、F. Klein,H. Poincaré 等によって③の全貌が解明され、保型関数に新たな種類が加わることになった。(なお、前述のとおり保型関数は③以外の種類もある。③のように基本領域の半分が円弧三角形の場合では、Klein 群のようなフラクタル形状の自然境界は生じない。)
単位円内部における Schwarz の保型関数の一つをとする。これは、円弧三角形の頂点をとするとき、が正の実軸上、が原点、が実数でない第1象限内にある。(以降では常に、に対して位の鞍点、に対して位の零点、に対して位の極を附随させる)。そのときの逆関数は、超幾何微分方程式の基本解となる二つの超幾何関数の比
で表わされる。ここには、存在領域の境界線 (極限集合) が常に単位円となるようにするために必要な定数因子である。
に、原点を中心とする回転と、実軸上の (双曲幾何的) 平行移動とを合成した変換を施して、が原点、が実数でない第1象限内、が正の実軸上にある Schwarz の保型関数を定めることができる※3。ここではこれを採用する。
との違いを図示すると次のようになる。
の場合における、頂点 , の位置を表わす数は、具体的に
となる。また、その場合の頂点まわりでの変換は、
となる。すなわちの保型性は、のうち任意の二つを生成元とする一次分数変換群で表わされる。上図において、黄色掛け領域と青色掛け領域の境界線となっている円弧を、単位円周上まで延長すると得られる二点は、
で表わされる。の値は、基本領域を囲む円 (の見かけの中心と半径) を具体的に求める際に必要となる。
なお、単位円内部における Schwarz の保型関数を、上半平面上における Schwarz の保型関数に変換する場合は、楕円モジュラー関数の頁でも触れた 「狭義の Cayley 変換」
を用いる。
Schwarz の保型関数は、特別な場合として Klein の楕円モジュラー関数になる場合
Schwarz の保型関数における円弧三角形の変換群は、三角形群 (triangle group) と呼ばれる。特に、(2,3,7)-triangle group や (2,3,8)-triangle group は、Klein、A. Hurwitz 等が群論的アプローチで代数曲面や位相幾何学を論じた際に用いられた。また、20世紀になると志村 五郎, 谷山 豊, A. Weil 等によって高次元虚数乗法論, 志村多様体論が構築され、それらの主要目的である類体論の一般化が試みられる中で、Schwarz の保型関数が現れている。
【Gauss - Schwarz 理論:一部が純虚数パラメーターの場合】
Schwarz の保型関数における3個のパラメーター,,のうち、原点に対応しているパラメーター (例えばの場合は) は依然2以上の整数に固定するが、他のパラメーター2個のうち1個を純虚数とするならば、新しいタイプの保型関数が現れる。すなわち、その存在領域は単位円の外部にも解析接続され、複素平面全体を覆う。また、Cantor 集合状の極限集合を持つ。
このような純虚数パラメーターのに対しても、頂点 , の位置を表わす数、頂点まわりでの変換、および単位円周上の二点の位置を表わす数は、前述と全く同じ式が使用できる。
純虚数パラメーターの場合に拡張された Gauss - Schwarz 理論は、佐々木武, 吉田正章, 市川尚志によって論じられている (ただし、超幾何微分方程式の形やパラメーターの取り方は当サイトと異なる)※4。
【註記】
※1:Poincaré 級数は保型形式の一例で、(が Fuchs 群ならば) 「テータ Fuchs 関数」 とも呼ばれる。後者の名称は、この級数が保型関数版のテータ関数に相当すると考えた Poincaré が使い始めた。(Fuchs 群なる名称等も同様に) "Fuchs" が付く理由は、Fuchs 型の線形常微分方程式を解く逆関数を求めること ― 楕円積分がその逆関数である楕円関数で解かれることの類似 ― を、Poincaré が保型関数研究の主題と捉えていたからである。
同時期、群論的・位相幾何学的な方向から保型関数を研究していた Klein は、度々 Poincaré と意見が衝突した。特に "Fuchs" を含むこれらの名称を Klein は、「verfrüht (時期尚早)」 と評し、誰の名も冠しない 「Automorphe funktion (保型関数)」 を使うべきであると主張した。
両者の論争は、数学史でも割合触れられることが多い。どのような言葉が交わされたかについては、
・斎藤利弥 著 「線形微分方程式とフックス関数 (Ⅰ)」 p.276~279
・J. J. Gray 著 「リーマンからポアンカレにいたる 線型微分方程式と群論」 p.256~268
等に詳しい。
※2:Gauss - Schwarz 理論 に基づいて保型関数のプログラムを開発した経過を、「Mathematica Code」 の頁 で公開しています。(ただし、純虚数パラメーターに対応していない古い世代のコード。)
※3:面倒なので当サイトは従わなかったが、Schwarz 以来、第1~3変数はと表示するのが本来の記法である (しかも、実際には逆保型関数に対する記号である)。因みに、Klein によれば、関数記号は Schwarz の名ではなく球面 (sphära) に由来する ― (本質的にと同じ)は、Riemann 球面上に移すと理解しやすくなるから ― とのことらしい。
※4:吉田正章 「私は超幾何関数:於北大早春学校」 (2006年3月 北海道大学での講演論文) 等を参照。(ただし、外来語を独自の訳語で記述しており、少々読みづらい。末尾の参考文献に挙がっている他2者との共著論文の方が、(英文であるが) 人によっては馴染めるかもしれない。)
※1:Poincaré 級数は保型形式の一例で、(が Fuchs 群ならば) 「テータ Fuchs 関数」 とも呼ばれる。後者の名称は、この級数が保型関数版のテータ関数に相当すると考えた Poincaré が使い始めた。(Fuchs 群なる名称等も同様に) "Fuchs" が付く理由は、Fuchs 型の線形常微分方程式を解く逆関数を求めること ― 楕円積分がその逆関数である楕円関数で解かれることの類似 ― を、Poincaré が保型関数研究の主題と捉えていたからである。
同時期、群論的・位相幾何学的な方向から保型関数を研究していた Klein は、度々 Poincaré と意見が衝突した。特に "Fuchs" を含むこれらの名称を Klein は、「verfrüht (時期尚早)」 と評し、誰の名も冠しない 「Automorphe funktion (保型関数)」 を使うべきであると主張した。
両者の論争は、数学史でも割合触れられることが多い。どのような言葉が交わされたかについては、
・斎藤利弥 著 「線形微分方程式とフックス関数 (Ⅰ)」 p.276~279
・J. J. Gray 著 「リーマンからポアンカレにいたる 線型微分方程式と群論」 p.256~268
等に詳しい。
※2:Gauss - Schwarz 理論 に基づいて保型関数のプログラムを開発した経過を、「Mathematica Code」 の頁 で公開しています。(ただし、純虚数パラメーターに対応していない古い世代のコード。)
※3:面倒なので当サイトは従わなかったが、Schwarz 以来、第1~3変数はと表示するのが本来の記法である (しかも、実際には逆保型関数に対する記号である)。因みに、Klein によれば、関数記号は Schwarz の名ではなく球面 (sphära) に由来する ― (本質的にと同じ)は、Riemann 球面上に移すと理解しやすくなるから ― とのことらしい。
※4:吉田正章 「私は超幾何関数:於北大早春学校」 (2006年3月 北海道大学での講演論文) 等を参照。(ただし、外来語を独自の訳語で記述しており、少々読みづらい。末尾の参考文献に挙がっている他2者との共著論文の方が、(英文であるが) 人によっては馴染めるかもしれない。)
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
アニメーション(10.40MB)
複素変数の Schwarz の保型関数のグラフ。すべての基本領域は、"双曲幾何的な" 合同であることが分かる。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は上半平面) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(存在領域は単位円内部) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(極限集合が実軸上) のグラフ。2番目は、値域を常用対数目盛にした場合である (以下同様)。
複素変数の Schwarz の保型関数(極限集合が単位円周上) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(極限集合が実軸上) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(極限集合が単位円周上) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(極限集合が実軸上) のグラフ。
複素変数の Schwarz の保型関数(極限集合が単位円周上) のグラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
アニメーション(16.80MB, 5.09MB)
複素変数の Schwarz の保型関数のグラフ。パラメーターが整数から純虚数に推移する場合。
複素変数の Schwarz の保型関数(極限集合が単位円周上) のグラフ。ただし、純虚数パラメーターが2個の場合は、必ず分枝切断線を持ち多価関数となるので、本来は保型関数に該当しない。
Klein 円板も、Poincaré 円板と同様に双曲的非 Euclid 平面を視覚化する正当な幾何学モデルであるが、等角写像的ではない。(平行線公準は Klein 円板の方が理解しやすい。Klein 円板の理論的背景については、伊藤忠夫氏のサイト 「双曲的非ユークリッドの世界と8字ノット」 http://web1.kcn.jp/hp28ah77/jp3_poinc.htm を参照願います。)
次の関数は、Klein 円板上の複素数を Poincaré 円板上に変換する、非正則な関数である。
因みに、双曲的非 Euclid 幾何学の平面モデルである Klein 円板、Poincaré 円板、および上半平面を最も早く発見したのは E. Beltrami (1868年) である。他にも曲面モデルとして擬球、(二葉)回転双曲面があり、各モデルの相互関係等についても前掲のサイトに詳しい説明がある。
Galois 的有理関数
前述のように、保型関数の基本領域の半分である円弧三角形の内角が、それぞれSchwarz, Klein 等の研究を経て、具体的な Galois 的有理関数の式が次のように求められている。
Galois 的有理関数は、三次元特殊直交群の有限部分群である巡回群,正2面体群※2,正4面体群,正8面体群,正20面体群による変換と同型の不変性を持つ。すなわち、自己同型群を Galois 的有理関数の Galois 群とするとき、
となる。
なお、正6面体、正12面体に対応する Galois 的有理関数は、
である。(以下のグラフにおいて、は簡単すぎるので描画しない。)
特に、ある一次分数変換によってを移すと得られる Galois 的有理関数
の有理関数部分として現れる。
【註記】
※1:これはあまり一般的な名称ではないが、例えば 難波 誠 著 「複素関数 三幕劇 (朝倉書店 1990年)」 で使用されている。ここでの記述もこの書籍に基づく。ただし、記号は独自に設定したものである。
※2:正2面体とは、2枚の正多角形の対応する辺どうしを貼り合わせて、厚みを0とした "正多面体" を言う (下図を参照)。
これは、正多面体群を研究していた Klein によって、(少なくとも群論では) 正多面体に追加すべきであることが発見された。
※1:これはあまり一般的な名称ではないが、例えば 難波 誠 著 「複素関数 三幕劇 (朝倉書店 1990年)」 で使用されている。ここでの記述もこの書籍に基づく。ただし、記号は独自に設定したものである。
※2:正2面体とは、2枚の正多角形の対応する辺どうしを貼り合わせて、厚みを0とした "正多面体" を言う (下図を参照)。
これは、正多面体群を研究していた Klein によって、(少なくとも群論では) 正多面体に追加すべきであることが発見された。
複素変数の Galois 的有理関数のグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数のグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数のグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数のグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数のグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数のグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数のグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数のグラフ。
以下では、Galois 的有理関数を Riemann 球面上に写像した場合のグラフを掲載する。このとき、楕円型非 Euclid 平面上の保型関数としての Galois 的有理関数の素性 (正多面体との関連性 ― ただしは除く) が一目瞭然となる。
Riemann 球面にはいくつかの流儀があるが、ここでは、複素平面上の単位円を共有する半径1の球を Riemann 球面とし、(この球を地球に喩えれば) 複素平面から Riemann 球面への写像は、無限遠点を北極点に、原点を南極点に、単位円を赤道に移すものを採用している。換言すれば、北極点からの極射影によって Riemann 球面上の点を複素平面上に射影した点が、写像元の点となる (下図 ①,②)。
なお、以降のグラフでは、視覚補助用の球面を重ねて描画しているが、その凡例は ③ のとおりとする。
さらに、見やすい形状の曲面になるよう、以降のグラフでは関数値に任意定数を足して Riemann 球面の中心から離れるようにしている。例えば、各々1番目のグラフは、球の中心から関数の零点がある位置までの距離が、この定数に相当する。(この処理をしないと、零点はすべて球の中心付近に集まり、曲面の起伏が激しくなるため非常に見づらくなる。)
*******
複素変数の Galois 的有理関数を Riemann 球面上に変換したグラフ。2番目は絶対値を無視し球面上に偏角を彩色しただけの場合。3番目は絶対値を常用対数化した場合。(以下同様。)
複素変数の Galois 的有理関数を Riemann 球面上に変換したグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数を Riemann 球面上に変換したグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数を Riemann 球面上に変換したグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数を Riemann 球面上に変換したグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数を Riemann 球面上に変換したグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数を Riemann 球面上に変換したグラフ。
複素変数の Galois 的有理関数を Riemann 球面上に変換したグラフ。
【 Petite Galerie 】
臨時ニュース:超新星爆発が発生!!
一般の保型関数
前述のとおり、一般に保型関数は Poincaré 級数で表わせる。しかし、 Poincaré 級数は理論的に収束することが分かっていても、実際の数値計算では、膨大な総和項数や高精度の数値を使用しなければ、充分な精度で結果が得られないことが多い。ここに掲載するグラフは、代替方法があるか、または条件が良いため例外的に描画が成功した事例である。以降の説明は、主にその計算方法について行う。なお、関数記号はいずれも独自に導入したものである。
【Schottky 群に関する保型関数】
基本領域の半分が円弧4辺形になる保型関数 (Fuchs 関数) であるが、その一部の辺が実軸や単位円周を共有する (Poincaré は、これを 「第2種の辺」 と呼んだ) ので自然境界を持たない。特異点 (極・真性特異点) は実軸上または単位円周上にあり、Cantor 集合状の極限集合を形成する。
具体的には Fig.1 のように、実軸上に中心を持ち実数区間およびを直径とする円、並びに単位円の各3円に関する一次分数変換に対して不変な保型関数とする。特に、のときは Fig.2 のようになる。
は、次のような無限乗積で求められる (Poincaré 級数では収束が遅すぎるので代替方法を使う) 。
なお、の場合は、
のように、初期関数が三角関数となる※1。
は、保型性
を満たす。特に、のときは
となり、これは数論的保型関数と類似している。実際、ならばとなる。
【Klein 群に関する保型関数:4辺形の内角がいずれも45°】
この保型関数は、基本領域の半分が円弧4辺形で各頂点の内角はいずれも45°、その各辺に対する鏡映は Klein 群が作用する一次分数変換で表わされる例である。極限集合はフラクタル形状の閉曲線で、それが関数の自然境界となり、その内部 (原点を含む側) が関数の存在領域となる。(この保型関数は、偏角の正負による区分線が基本領域の辺と一致しない普遍的な事例 ― 例えば楕円関数でも同様の事例が無数にある ― となっている。)
Poincaré 級数で計算できた数少ない事例で、D. Mumford,C. Series,D. J. Wright 著 「インドラの真珠」 に負う所が大きい。より詳しい内容は同著を参照して頂きたいが、概略は次のとおりである。
この関数を独自の記号で表記し、パラメータはともに区間内の実数であるとする※2。また、(離散的な) 特殊線形群の生成元となる二つの2次正方行列を次のように定める。
さらに、行列の合成全体から、互いに同一変換となって重複するものを除くため、右側からかける行列積に対して次の制約・還元規則を課する。
上記の制約のもとで生成される、すべての合成行列からなる集合を
と表記すると、はの全体をわたる和の Poincaré 級数を用いて
と定義される。すなわち、は保型性
を満たす。
【註記】
※1:定義上の項数・反復回数は無限大であるが、数値計算ではかなり少ない有限値に設定しないと、すぐにメモリーオーバーを起こすか途方もない時間がかかる。因みに、誤差が約の精度で良ければ、20項・4回反復程度で求められる。
※2:もっと一般的にを複素数とすることもできるが、一部のパラメータ指定値で計算不能になる等の問題が生じる。詳細は 「インドラの真珠」 を参照。
※1:定義上の項数・反復回数は無限大であるが、数値計算ではかなり少ない有限値に設定しないと、すぐにメモリーオーバーを起こすか途方もない時間がかかる。因みに、誤差が約の精度で良ければ、20項・4回反復程度で求められる。
※2:もっと一般的にを複素数とすることもできるが、一部のパラメータ指定値で計算不能になる等の問題が生じる。詳細は 「インドラの真珠」 を参照。
実軸上に極限集合を持つ Schottky 群の保型関数の複素変数グラフ。
単位円周上に極限集合を持つ Schottky 群の保型関数の複素変数グラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
実軸上に極限集合を持つ Schottky 群の保型関数の複素変数グラフ。
単位円周上に極限集合を持つ Schottky 群の保型関数の複素変数グラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
実軸上に極限集合を持つ Schottky 群の保型関数の複素変数グラフ。
単位円周上に極限集合を持つ Schottky 群の保型関数の複素変数グラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
Klein 群の保型関数の複素変数グラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
Klein 群の保型関数の複素変数グラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
Klein 群の保型関数の複素変数グラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
Klein 群の保型関数の複素変数グラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
Klein 群の保型関数の複素変数グラフ。
この関数の基本領域が、円弧多角形であることを示したグラフ。
アニメーション(12.30MB)
Klein 群の保型関数の基本領域。存在領域の外部 (暗く表示している部分) にも4辺形の円弧を延長している。ここに、パラメータは2番目の図のように動く。
【 Petite Galerie 】
Charm'd magic casements,opening on the foam / Of perilous seas, in faery lands forlorn.
もの寂しき妖精の国の、険しく泡立つ海に開ける、魅惑の魔法の窓。
(John Keats 「ナイチンゲールに寄せる叙情詩 (Ode to a Nightingale)」 の一節より)
もの寂しき妖精の国の、険しく泡立つ海に開ける、魅惑の魔法の窓。
(John Keats 「ナイチンゲールに寄せる叙情詩 (Ode to a Nightingale)」 の一節より)