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Jacobi 関数
Jacobi 関数
日:Jacobi関数,ヤコビ関数英:Jacobi function,仏:Fonction de Jacobi,独:Jacobische funktion
2階の線形常微分方程式
は超幾何微分方程式の別表現であって、を確定特異点とする。これを Jacobi の微分方程式といい、その解の基本系を成す二つの関数を超幾何関数で表わせば、
となる。これを順に、第1種および第2種 Jacobi 関数という※1。第2種での場合は、上記の式に l'Hôpital の定理を適用する等、別の定義式が必要になる。
このうち第1種は、常に
第2種はを一般に対数分岐点とし、実軸上の区間およびに分枝切断線が置かれる。ただしが半奇数ならば、の分岐点は消える。また、のときはとなる。
Jacobi 関数は、に関して準反転性
を持っている。
Jacobi 関数は、に関する線形漸化式および微分漸化式
を満たす。ここには、の三変数について1を周期とする任意の周期関数である。同様に、に関しても漸化式
を満たし、さらに、に関する簡易な形の漸化式
も満たす。
Jacobi 関数はが特別な値の組合せのとき、Gegenbauer 関数, Legendre 陪関数, および冪関数
に還元され、それらの式でさらにまたはとすると、Legendre 関数や Chebyshev 関数が現れる。一方、に対して極限を取ると、Laguerre 陪関数または Hermite 関数
に近付く。
第1種 Jacobi 関数は次数がならば、多項式
に還元される。これは Jacobi 多項式 (希に、超幾何多項式) と呼ばれ、応用で Jacobi 関数が使用されるのは、ほとんどこの場合に限られる。Jacobi 多項式は、母関数表示式および Rodrigues の公式
でも表わすことができ、種々の性質を導くのに便利である。Jacobi 多項式は古典的直交多項式の系統上で頂点に位置するが、その直交性についての詳細は次節で触れる。なお、Jacobi 多項式は特別なを除いて一般に偶関数または奇関数にならない。
しばしばに代わる第1種 Jacobi 関数として、
を定義していることがある※2。ただし、Jacobi のそれとは異なる (若干簡単な) 形の微分方程式
を満たす。
第2種 Jacobi 関数についても、当サイトと違う様々な定義が存在する。例えば 「Higher Transcendental Functions vol.2」 の171頁では、
が掲載されている。この関数は Jacobi の微分方程式を満たし、実軸上の区間およびに分枝切断線が置かれる※3。
また、同著の170頁または Wolfram MathWorld の記事 「Jacobi Function of the Second Kind」 では、第2種 Jacobi 関数版の Hobson 型とも言うべく、実軸上の区間に分枝切断線が置かれた、
が掲載されている。この関数も Jacobi の微分方程式を満たす。
Jacobi 関数 (多項式) は、主に回転群が関係する剛体力学や量子力学で応用される。例えば、独楽などの回転運動、正の曲率を持つ空間内での Schrödinger 方程式の解、各種の拡張された球面調和関数および Wigner のD行列に現れる。この他にも、可積分系の特殊解など応用範囲は他の古典的直交多項式と共通する部分もあるが、Jacobi 多項式で扱う内容はより高度になることが多い。さらにが複素数、が純虚数となる Jacobi 多項式のうち、特別な場合
も応用事例があり、これは Romanovski 多項式と呼ばれる※4。粒子ポテンシャルが余接関数となった Schrödinger 方程式の解、ランダム行列理論が事例として知られている。
Jacobi 多項式は、1859年に C. G. J. Jacobi が導入したことから、その名で呼ばれるようになった。また、1870年には P. L. Chebyshev が一般の多項式論を展開した際に、併せて Jacobi 多項式を論じた。Romanovski 多項式は、1929年に V. I. Romanovsky (Romanovski) がある種の確率分布を研究した際に導入した。
【註記】
※1:第2種 Jacobi 関数は当サイトが独自に定義したものであって、が余弦関数に相当すると見たとき、は正弦関数に相当する。(この事は、後にグラフでも確認する。また、第2種関数の定義に対する当サイトの方針は、別頁 Questions に掲示している。)
なお、第2種 Jacobi 関数の定義として広く採用されているのはである。
※2:のグラフは全て省略する。(実変数も、概形の関心領域が決定しづらいので省略する。)
※3:のグラフはと似ているので、を変数とする場合のみ掲載し、個数も削減する。
※4:のグラフも全て省略する。(同じく、概形の制御が難しいことに因る。)
※1:第2種 Jacobi 関数は当サイトが独自に定義したものであって、が余弦関数に相当すると見たとき、は正弦関数に相当する。(この事は、後にグラフでも確認する。また、第2種関数の定義に対する当サイトの方針は、別頁 Questions に掲示している。)
なお、第2種 Jacobi 関数の定義として広く採用されているのはである。
※2:のグラフは全て省略する。(実変数も、概形の関心領域が決定しづらいので省略する。)
※3:のグラフはと似ているので、を変数とする場合のみ掲載し、個数も削減する。
※4:のグラフも全て省略する。(同じく、概形の制御が難しいことに因る。)
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次(Jacobi 多項式)。②実数次。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
2番目は、の範囲を拡大した場合。
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次(Jacobi 多項式)。②実数次。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
2番目は、の範囲を拡大した場合。
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次(Jacobi 多項式)。②実数次。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
2番目は、の範囲を拡大した場合。
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次(Jacobi 多項式)。②実数次。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
2番目は、の範囲を拡大した場合。
アニメーション(27.0MB)
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。ただし実数の組は、2番目の図の経路に沿って動く。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
アニメーション(17.8MB)
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。ただし実数の組は、2番目の図の経路に沿って動く。
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。①。②。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第1種 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。およびでは関数が定義されない。
2番目は、の範囲を拡大した場合。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。およびでは関数が定義されない。
2番目は、の範囲を拡大した場合。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。およびでは関数が定義されない。
2番目は、の範囲を拡大した場合。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。およびでは関数が定義されない。
2番目は、の範囲を拡大した場合。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
アニメーション(18.5MB)
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。ただし実数の組は、2番目の図の経路に沿って動く。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①。②。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。では関数が定義されない。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
余弦・正弦関数に類似したとの関係。このとき、両者の包絡線はとなる。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。いずれも実数次であって、①。②。③。④。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
アニメーション(20.4MB)
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。ただし実数の組は、2番目の図の経路に沿って動く。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、第2種 Jacobi 関数のグラフ。
Jacobi 関数(正規化)
Jacobi 多項式は、直交区間をとする直交多項式であり、重み関数を伴う直交性を持っている。拡張された球面調和関数などの応用事例では、上記にの置換積分を施した
がしばしば必要になる。
もし、前節で触れたを Jacobi 多項式とするならば、その直交区間はとなり、
なる直交性を持つ直交多項式となる。
Jacobi 多項式は、超幾何関数系で最も複雑な直交性を持つ古典的直交多項式であり、添字定数 (次数以外のパラメーター) が2個ある唯一のものである。
当サイトでは Jacobi 関数に対しても、独自に
を導入し、正規化 Jacobi 関数と呼ぶ※1。よって、は正規直交関数系を成すとともに、重み関数が現れない直交性
を満たす。
【註記】
※1:関数記号は正規化 (Normalization) に基づく。また、当サイトではおよびを複素数まで許容する。他の直交多項式と同様に、を対数ガンマ関数で表示しているのは、を複素変数とする場合に解析接続が考慮されるようにするためである。
※1:関数記号は正規化 (Normalization) に基づく。また、当サイトではおよびを複素数まで許容する。他の直交多項式と同様に、を対数ガンマ関数で表示しているのは、を複素変数とする場合に解析接続が考慮されるようにするためである。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない帯状領域がある。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない帯状領域がある。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない帯状領域がある。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。①整数次。②実数次。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない帯状領域がある。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。①。②。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない帯状領域がある。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない帯状領域がある。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない帯状領域がある。
を実変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。では関数が実数値を取らない帯状領域がある。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を複素変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
を実2変数とする、正規化 Jacobi 関数のグラフ。
Zernike 関数
日:Zernike関数,ゼルニケ関数英:Zernike function,仏:Fonction de Zernike,独:Zernikesche funktion
Zernike 関数は、第1種 Jacobi 関数を用いた表示式
で定義される※1。一般に Zernike 関数は、を第1種 Jacobi 関数に由来する対数分岐点、をに由来する分岐点とし、実軸上の区間およびに分枝切断線が置かれる (特にのときは、実軸上の区間およびに分枝切断線が置かれる)。
Zernike 関数は、に関する線形漸化式および微分漸化式
を満たす。また、とするとき、積分表示式
で表わせる。
後述のとおり、応用ではを動径方向の関数と考え、方位角方向の因子を三角関数とした、
が定義される。当サイトでは、これを 「円板上の Zernike 関数」 と呼ぶことにする。
およびのうち、実際に応用面で重要となるのは、専ら, で、しかもとなる場合に限られる。このとき、は前述の分枝切断線が消失して多項式となるので、Zernike 多項式と呼ばれる。また、を 「円板上の Zernike 多項式」 と呼ぶことにする。
Zernike 多項式は、母関数表示式および Rodrigues の公式※2
で表わせる他、超幾何関数表示式および明示的な多項式
によっても表わせる。(実は、冒頭に掲げた定義式に現れる第1種 Jacobi 関数の部分は、Zernike 多項式のときに第1種 Legendre 関数の多項式で表わすことができる※3。)
Zernike 多項式の特に重要な性質は、重み関数を伴う直交性
を持つことである。しかし、各種公式の形が枠組みから外れる等の理由で、Zernike 多項式は古典的直交多項式に含めない慣例となっている。
Zernike 多項式は光学の分野で重要であり、特に、天文学および眼科領域で使用されるレンズや精密光学機器の性能を向上する (歪みや干渉を抑える) ために応用される。また、画像処理における特徴検出にも Zernike 多項式が現れ、その技術は医療機器等に応用されている。これらの事例では、円板上の Zernike 多項式が持つ単位円板内部での直交性
が基礎となっている。
1932年に位相差顕微鏡を発明した F. Zernike は、これに必要となる円形凹面鏡の設計とその回折現象の解明にあたって、新たに Zernike 多項式を導入した事を1934年の論文で明らかにしたので、後年その名を冠して呼ばれるようになった。
【註記】
※1:因子は Mathematica が採用する定義 (2023年1月現在) であって、通常この部分はで定義される。ところが前者は、が整数でない実数のときでも、が実数値を取るという利点を持つ。Mathematica が今後この定義を変更する可能性もあるが、当サイトはこれを採用する。よって、Zernike 多項式を超えるおよびの場合についてもグラフを掲載するが、物理的な意味を全く持たないので、その個数を若干削減する (例えば、またはを複素変数とするグラフは省略する)。
※2:微分形式による表現を用いず、この公式を次のように解釈しても良い。
※3:この事は、が満たす漸化式
から分かる。
※1:因子は Mathematica が採用する定義 (2023年1月現在) であって、通常この部分はで定義される。ところが前者は、が整数でない実数のときでも、が実数値を取るという利点を持つ。Mathematica が今後この定義を変更する可能性もあるが、当サイトはこれを採用する。よって、Zernike 多項式を超えるおよびの場合についてもグラフを掲載するが、物理的な意味を全く持たないので、その個数を若干削減する (例えば、またはを複素変数とするグラフは省略する)。
※2:微分形式による表現を用いず、この公式を次のように解釈しても良い。
※3:この事は、が満たす漸化式
から分かる。
を実変数とする、Zernike 多項式のグラフ。①。②。③。④。
を実変数とする、Zernike 多項式のグラフ。①。②。③。④。
円板上の Zernike 多項式のグラフ。の場合。
(通常はこの表示形式のグラフを、「Zernike 多項式のグラフ」 として紹介している事が多い。)
前述の直交性により、のグラフは単位円内部に限定することが多いが、関数自体は外部にも存在する。
円板上の Zernike 多項式のグラフ。の場合。
円板上の Zernike 多項式のグラフ。の場合。
を共通とする、円板上の Zernike 多項式の有限和
が成立する。これは、Bessel 関数の公式 「Jacobi - Anger expansion」 に似ている。
のグラフ。
のグラフ。
を実変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を実2変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を複素変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を複素変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を複素変数とする、Zernike 関数のグラフ。
を複素変数とする、Zernike 関数のグラフ。
円板上の Zernike 関数のグラフ。の場合。
Wigner のD関数
日:WignerのD関数,ウィグナーD関数英:Wigner's D function,仏:Fonction D de Wigner,独:Wignersche D-funktion
角度(ただし、この制限はしばしば不要になる) は、3次元直交直線座標における原点中心の回転変換を指定する、(回転系の) Euler 角であるとする※1。
このとき Wigner のD行列とは、次のユニタリー行列 (ユニタリー性を持つ次の複素正方行列。ここに、は次の単位行列。)
であって、具体的にその要素が、Wigner のD関数
によりと表わされる行列を言う※2。特にの部分は Wigner のd関数と呼ばれ、これの Jacobi 関数部分は、超幾何関数による閉形式または有限和で表示されることもある。
Wigner のD関数およびd関数は、について反転性
を持つ。また、偏微分演算子を
と定めるとき、Wigner のD関数の共役複素数は
なる偏微分方程式を満たす※3。すなわち等は、この偏微分方程式の固有値である。
さらに、Wigner のD関数は Euler 角の全体をわたる直交性
を持っている。
Wigner のD関数は、球面調和関数およびその拡張と関係がある。例えばのとき、球面調和関数
に還元される。一方、量子力学における "スピン" を考慮した 「スピン加重球面調和関数 (Spin weighted spherical harmonics)」 は、Wigner のd関数を用いて、
と表わされる。
また重要な事実として、有限和
は、球面調和関数を (回転系の) Euler 角で回転変換したものと一致する。
Wigner のD行列は、回転群 (特殊直交群)または特殊ユニタリー群の既約行列表現 (各群の元全体から行列が成す群への写像) として、E. P. Wigner が1927年に導出した。主に、スピン角運動量が伴う量子力学、並びにその有限次元 Lie 群による表現論に応用される。
【註記】
※1:(回転系の) Euler 角は、具体的に次の手順で回転が定まる。
同様に、他の回転系を採用することも可能であり、全部で12種類の回転系がある。
※2:Mathematica の組込関数は、添字が整数でもなく半奇数でもない場合にも定義されており、しかもが複素数の場合でも計算可能である。それは次のコードと全く同じ動作になる (2023年3月現在)。
このとき、と通常の定義の関係は (添字と変数の拡張も含めて)、
となる。なお、コード GaussHypergeometric.m では、Mathematica の組込関数よりも更に解析接続を施した Wigner のD関数も実装した。
※3:Wikipedia の記事にあるとおり、偏微分演算子等を Lie 代数の生成子と考え、更に量子力学で多用されるケット記号を用いて、しばしばこの偏微分方程式は
の形に略記される。
※1:(回転系の) Euler 角は、具体的に次の手順で回転が定まる。
① 軸周りに度回転
② 前記①で移動後の軸周りに度回転
③ 前記②で移動後の軸周りに度回転
これをアニメーション (3.72MB) で示すと、次のようになる。② 前記①で移動後の軸周りに度回転
③ 前記②で移動後の軸周りに度回転
同様に、他の回転系を採用することも可能であり、全部で12種類の回転系がある。
※2:Mathematica の組込関数は、添字が整数でもなく半奇数でもない場合にも定義されており、しかもが複素数の場合でも計算可能である。それは次のコードと全く同じ動作になる (2023年3月現在)。
このとき、と通常の定義の関係は (添字と変数の拡張も含めて)、
となる。なお、コード GaussHypergeometric.m では、Mathematica の組込関数よりも更に解析接続を施した Wigner のD関数も実装した。
※3:Wikipedia の記事にあるとおり、偏微分演算子等を Lie 代数の生成子と考え、更に量子力学で多用されるケット記号を用いて、しばしばこの偏微分方程式は
の形に略記される。
を実変数とする、Wigner のd関数のグラフ。
①(のうち、重複を除いた関数は12種類。)
②(のうち、重複を除いた関数は22種類。)
③(のうち、重複を除いた関数は9種類。)
④(のうち、重複を除いた関数は18種類。)
を整2変数とする、Wigner のd関数のグラフ。
を整2変数とする、Wigner のd関数のグラフ。
を整2変数、を実変数とする、Wigner のd関数のグラフ。①描画範囲がの場合。②描画範囲がの場合。
を整3変数とする、Wigner のd関数のグラフ。①。②。
を変数とする、Wigner のD関数のグラフ。(ただし、を極座標の方位角、を極座標の天頂角として描画する:以下同様。)
を変数とする、Wigner のD関数のグラフ。
アニメーション(3.66MB, 3.62MB, 3.61MB)
を変数とする、Wigner のD関数のグラフについて、を動かしたときの動画。
アニメーション(4.18MB, 4.35MB, 4.28MB)
を変数とする、Wigner のD関数のグラフについて、を動かしたときの動画。
を変数とする、Wigner のD関数のグラフを、直交直線座標で描画する。
を変数とする、Wigner のD関数のグラフを、直交直線座標で描画する。
前述の有限和
が、球面調和関数を Euler 角で回転変換したものと一致することを確認する。
の場合。グラフとアニメーション (3.38MB)。
の場合。グラフとアニメーション (3.58MB)。
の場合。グラフとアニメーション (3.64MB)。
前述のとおり、Wigner のd関数はが実数のときにも定義できるが、物理的な意味は持たない。以下そのような事例を掲載する。
を実2変数とする、Wigner のd関数のグラフ。
を実2変数とする、Wigner のd関数のグラフ。
を実2変数とする、Wigner のd関数のグラフ。
を実2変数とする、Wigner のd関数のグラフ。